「#名画で学ぶ主婦業」の魅力を語る田中久美子教授(右)=2018年12月、文星芸術大

 「息子の部屋からいつのかわからない弁当箱がでてきた」「日曜日の夜に体操服出すのやめて」-。名画に託した主婦のつぶやきをまとめて書籍化した「#名画で学ぶ主婦業」(宝島社)が話題を呼んでいる。監修を務めたのは文星芸術大の田中久美子(たなかくみこ)教授(西洋美術史)。「重い主題と軽妙な話題とのギャップ、ディテールを読み込ませる名画の力が、美術に関心のなかった人たちも引き付けている」と解説する。

 フランス革命の指導者の悲劇的な暗殺シーンが描かれた18世紀の名画「マラーの死」。無念の死を遂げたマラーの左手には血の付いた嘆願書が握られ、作品全体が緊張感を帯びている。

 この名画と日常を重ね、ある女性が「『来週月曜日は給食はありませんのでお弁当を持たせてください』という学校からの手紙を当日朝息子のランドセルから発見」と写真説明をツイッターに投稿したのは昨年5月。たちまち「あるある」「面白すぎる」など多くの共感や笑いが沸き起こった。

 これを機に多くの人がレオナルド・ダビンチやフェルメールなどの名画とともにつぶやきを投稿。ハッシュタグ(検索目印)「♯名画で学ぶ主婦業」は延べ10万リツイート(転載)以上となった。

 こうした投稿作から56点を厳選してまとめたのが同書。以前から同社と関わりがあった田中教授が監修依頼を受け、題材となった名画の歴史的背景や見どころも学べる一冊となった。

 昨年9月の発行から約3カ月で累計6万部以上を売り上げ、インターネット通販大手アマゾンの「サブカルチャー・一般」カテゴリーでは1位となる人気ぶりを見せた。田中教授は「絵は、見ることが第一歩。この本を入り口にして名画の世界に足を踏み入れてもらえればうれしい」と話している。