「発明はひらめきから。ひらめきは執念から。執念なきものに発明はない」。NHKの朝ドラ「まんぷく」のモデルになった日清食品創業者・故安藤百福(あんどうももふく)さんの語録から、こんな名言を見つけた。即席めん開発の物語と重ね合わせるといっそう説得力を持つ▼日本産業技術教育学会の「発明・工夫作品コンテスト」で4連覇した帝京大理工学部(宇都宮市)の学生たちも、まさに執念を発明に結び付けた。スタートは少子高齢化が進む中でいかに自分たちの技術を役立てるか、という発想だった▼テーマを介護現場の支援に絞ると、2カ月にわたって施設を見て回り現場の声を集めた。着目したのは、排便時の見守りに時間や労力を割いているといった現実である▼受賞作は「トイレでの高齢者の転倒を防ぐ声かけシステム」。トイレットペーパーの使用をセンサーが検知すると介護者のスマートフォンに通知し、トイレには「待っていてくださいね」と声が流れる▼指導した蓮田裕一(はすだゆういち)教授は、発想を具現化するために必要なものとして、工学的なセンスをあげる。平たく言えば、さまざまな状況に対応できる柔軟さだ▼頭が凝り固まった中年には無縁の世界と思いきや、安藤さんが開発に成功したのは50歳間近だったという。「人生に遅すぎるということはない」。心に響く教訓である。