下野新聞社が実施した農業関係者へのアンケートでは、猛暑や集中豪雨など気候変動の影響への不安の声が多く寄せられた

 「これまで経験のない風雨や雪がある」

 「異常気象が恒常化してしまっている」

 下野新聞社が昨年12月から今年2月にかけて、JA栃木中央会などの協力を得て実施した農業関係者へのアンケートでは、気候変動の影響を肌で感じている現場の声が数多く寄せられた。

 県内10JAの主な作物の部会代表者らを対象とし、117件の回答を得た。気候変動の影響をほぼ全ての回答者が何らかの形で感じており、対策についても「すでに実施」「今後検討する」を合わせ、必要性を実感している回答は8割に迫っていた。

 気候変動の影響として、回答者の9割近くが感じていたのは「夏の猛暑」だ。

 暑さ対策としては「遮光ネットの使用」(県央・グリーンアスパラガス、ニラ)、「遮光剤等の利用によるハウス内温度上昇の抑制」(県南・トマト)など、強い日差しや暑さを抑える意見が目立った。

 「夏場にハウス内の温度が高くなりすぎるのを防ぎたい」。JAうつのみやグリーンアスパラガス専門部の研究グループリーダーを務める半田貴也(はんだたかや)さん(41)はこう話す。暑すぎると、夏場や翌春に収穫する芽に影響が出てしまうからだ。

 グループ内でも取り組みが進んでいるといい、「ハウスに吹き付ける遮光剤を使った場合、温度上昇を2~3度は抑えられるようだ」と説明する。

 猛暑だけではなく、「強い台風の発生」「短時間の集中豪雨」といった影響も、それぞれ回答者の半数以上が感じており、対策としては「施設の強化」を挙げる声が複数見られた。

 JA足利イチゴ部会長の菊地俊一(きくちしゅんいち)さん(76)もその一人。10年以上前に自然災害に強い「耐候性ハウス」を建てたほか、土地を高くして大雨の際に浸水しないようにしたという。「当時は過剰な対策かと思ったが、最近は竜巻や強い台風、ゲリラ豪雨が増えていると感じるので、やっておいて良かった」

 今回のアンケートでは、気候変動への対応として「栽培技術の改良」を挙げた回答が約半数を占めたのに対し、「品種の転換」が27%、「作物の転換」は11%にとどまったのも特徴だ。

 農業分野の適応に詳しい茨城大農学部の増冨祐司(ますとみゆうじ)准教授(農業気象学)は、「まずは栽培技術の改良や、栽培時期の変更など対応しやすい部分から導入していくということだろう」とみる。ただ「(将来的には)品種の転換は必須になってくる」と話す。

 「被害がまだあまり出ていない時に対策を始めることが大切だ」と、増冨准教授は強調する。「事前に対策を打っている地域とそうでない地域とでは、かなり差が出てくるだろう」

 温暖化はさらに進んでいくとみられる。将来を見据え、適応への「種」をまく時が来ている。