19年ぶりに里帰りしたご神木の苗木を植樹する地元関係者ら

 【日光】2000年8月に落雷で倒れた、山久保稲荷神社=山久保=の樹齢約800年のご神木が、「網目スギ」と言われる貴重な品種だったことが分かった。16日には、ご神木の「孫」に当たる苗木3本が里帰りし、神社関係者らが境内に植樹した。網目スギを研究している元県庁職員で農学博士の安藤実(あんどうみのる)さん(87)=宇都宮市宿郷=は「1万本に1本くらいしかないエリートスギ」と絶賛している。

 創建1200年余の同神社には現在、樹齢500年を超える市文化財指定のスギが4本ある。今回のご神木も指定されていた。倒れた後に宇都宮市内の市場に出され、安藤さんの目に留まった。「年輪も均一で芯が赤く材質に優れている。なぜ神社にあったのか」と驚く。生き残っていた枝を挿し木して、2代にわたって数多く育ててきた。

 技術士でもあり木材加工学が専門の安藤さんによると、網目スギは表面が美しく「姫肌」とも言われる。枝が自然に落ち管理も楽で、花もほとんどつけず花粉も少ない。先が細くならず同じ太さで垂直性に優れているため、商品価値も高い。市場では、名古屋の業者が500万円で落札したという。

 安藤さんは「研究機関と協力して、エリートスギの増殖と育林の省力化による材質育種に取り組みたい」と語る。いずれ学会で発表したいと意欲をみせる。

 今年3月、春の例大祭時に知らせを聞き、苗木を贈られた同神社会会長の斎藤操(さいとうみさお)さん(66)は「そんなに貴重なスギとは思ってもみなかった。大切に育てたい」と苗を見ていた。