人工巣塔で羽を休めるコウノトリに近付くドローン。撮影目的と思われる=6月19日午前、小山市下生井の渡良瀬遊水地(提供写真)

 小山市下生井の渡良瀬遊水地第2調整池に居着いているコウノトリの人工巣塔にドローンで接近して撮影する事案が相次いでおり、写真愛好家らから「危険な行為だ」などと非難する声が上がっている。国土交通省などによると、同所でドローン飛行を規制する法的根拠はないが、事態を問題視した市は規制ができないか検討を始めた。

 「ひかる」の愛称で親しまれているこのコウノトリが休んでいた人工巣塔に、ドローンの接近が確認されたのは6月19日午前8時ごろ。近くでひかるの写真を撮っていた男性(63)が、気付いて撮影した。10分ぐらい人工巣塔のすぐ上を旋回していたので辺りを見回して操縦者を捜したが、見つけられなかったという。

 当時の状況について男性は「かなり大型のドローンで、ひかるはおびえているようにも見えた」と説明。「接触してけがでもしたら大変。こんなことが続いたら、せっかく居着いたのに嫌気をさして飛び去ってしまうかも」と憤る。

 ひかるのいる人工巣塔の近くでドローンが確認されたのは、これが初めてではない。別の写真愛好家の男性によると、3月と4月に1度ずつあった。操縦していたのは最初が若い男性で、注意されるとすぐにやめた。2回目は年配の男性で、やめるよう促されても「なぜだめなのかと、くってかかってきた」という。

 ドローンなどの無人航空機を飛ばせる場所は、人の居住地では航空法で制限されている。だが無人の渡良瀬遊水地で規制はない。国の特別天然記念物であり絶滅危惧種でもあるコウノトリを傷つけた場合は、文化財保護法や種の保存法などで懲役刑を含む罰則があるものの、ドローンの飛行までは制限していない。

 コウノトリの定着に取り組んできた市は、これまでに「観察する際のお願い」として「150メートル以上離れて」「近くで大きな音を出さないで」などと呼び掛けてきた。ドローンでの接近撮影は「想定外のマナー違反。何らかの規制を検討している」(市渡良瀬遊水地ラムサール推進課)としている。