作業着姿の男性が見つめる先に、黒い固まりがあった。盛り土され、遮水シートで覆われた指定廃棄物の堆肥。「本当はここに農機具の車庫を建てる予定だった。まあ今は、あきらめムードだけど」。7月。農業男性の口調は淡々としていた。

 農業系の指定廃棄物は、那須塩原や那須など県内6市町の約120戸の農家が、一時保管を余儀なくされている。田んぼや牧草地など、保管場所はそれぞれの農家の土地だ。

 こうした負担の軽減のため、昨年11月、保管農家がいる6市町ごとの「暫定集約」の方針が決まった。市町ごとに暫定保管場所を設け、そこに指定廃棄物を集める方策だ。

 暫定集約を巡り、7月に関係市町を取材し、気になったことがある。「国の動きを待っている」「方向性が示されないと動けない」。多くの市町の担当者がそう口をそろえた。

 指定廃棄物は国の責任で処分することになっている。とはいえ、市町側も、積極的に国に働き掛けてはどうか。大切なのは、農家のあきらめムードを少しでも変えること。「一日も早く片付けて」。その言葉が重く響く。