おじの義之さんが作詩したFFJの歌の楽譜を眺める健男さん=今月中旬、さくら市鹿子畑

吉沢義之さん(おいの健男さん提供)

おじの義之さんが作詩したFFJの歌の楽譜を眺める健男さん=今月中旬、さくら市鹿子畑 吉沢義之さん(おいの健男さん提供)

 戦後間もない時代から、農業を学ぶ高校生に受け継がれる歌がある。NHKの連続テレビ小説「なつぞら」で、農業高校に通う主人公たちが歌ったことで注目された「FFJの歌」だ。さくら市鹿子畑出身で、今年2月に90歳で亡くなった吉沢義之(よしざわよしゆき)さんが作詞した。おいの同所、農業、健男(たけお)さん=同所=(65)は「朝ドラで歌われるなんて感無量。叔父にも知らせたかった」と喜びの中にも寂しさを感じている。

  FFJとはフューチャー・ファーマーズ・オブ・ジャパンの略。全国の農業高校などが加盟する「日本学校農業クラブ連盟」を指す。

 連盟歌を制作するに当たり1951年、歌詞が公募された。300点以上の応募作の中から選ばれたのが、義之さんの歌詞だった。

 農家の次男に生まれた義之さんは体が弱かったが、幼少期から文章を書くことが得意で、当時は作詩に打ち込んでいた。地元の旧金鹿小や旧上江川中の校歌も義之さんが作詞した。

 〽みのる稲穂に 富士と鳩(はと) 愛と平和を 表した

 旗はみどりの 風に鳴る

 土に取り組む 若人の

 意気と熱とが もり上げた

 FFJ FFJ われらの 誇り

 歌詞は、農業を志す若者たちを力強く鼓舞する。「土を愛し土に生きる若人の情熱、クラブ活動の基となる自主独立の意欲、智行合一の精神、明日の農村を背負って立つクラブ員の理想と希望といったようなものをうたったつもりです」。連盟の機関誌で、義之さんはこう述べている。

 朝ドラでは北海道・十勝の酪農家の家で暮らす主人公のなつが、大学受験を控えた友人を送り出す場面などで、FFJの歌が歌われた。「戦後の貧しい時代、この歌に励まされた若者は多かったのではないか」と健男さん。自身も高校時代、この歌を歌った一人だ。

 半世紀以上が過ぎた今でも、FFJの歌は農業クラブに加盟する全国の高校で歌い継がれている。県内では7校の計約2千人が在籍する。義之さんが思いを込めた歌は「土に取り組む若人」たちを励まし続ける。