アスファルトがはがされた稲岡町の農道。土砂などが農地に流れ込んだ

 【足利】台風19号で地元の旗川があふれた稲岡町は、全域で水田やビニールハウスに土砂や道路のアスファルトが流れ込むなどの被害を受けた。住宅の浸水被害も相次ぎ、同町自治会(175世帯)は自前のボランティア組織を立ち上げ、共助の精神で復旧を進めている。

 住民によると、市と佐野市境を流れる旗川が12日深夜、あふれ出したという。水が引くと、農道のあちこちで舗装がはがれ、アスファルトや土砂、倒木などが水田に流れ込んでいた。刈り取り前の稲も全部なぎ倒された。農業嶋田重雄(しまだしげお)さん(79)は農地を見ながら「旗川があふれたのは72年前のカスリーン台風以来。言葉が出ない」と落胆した。

 同町は新規就農者も多い。両親の背中を追って就農して2年目の嶋田有希(しまだゆうき)さん(26)はイチゴのビニールハウス6棟などが被災した。ハウスは倒れ、定植したばかりの苗が土砂に埋もれた。「全滅。苗がかわいそうで…」と声を詰まらせながら「一からスタートするしかない」と前を向き、家族や仲間とハウスの片付けを進めている。

 トルコギキョウの栽培を始めて2年目の男性(46)は約10万本を育てていたハウス内を土砂に覆われた。「力が抜けてしまう」と嘆きながらも、仲間と土砂をかき出す方策を思案していた。

 同町自治会は台風が去った14日、役員らが集まりボランティア組織を立ち上げた。自治会員や知り合いの業者などで協力し、被災した住宅や農地の片付けを支援するという。岩澤初彦(いわさわはつひこ)会長(75)は「自分の所だけでなく、応援し合っていきたい。田んぼ、畑が元通りにできるようにしたい」と話した。