山肌がむき出しになった土砂崩れ現場。付近の住民に避難勧告が出されている=20日午後、足利市助戸大橋町

 台風19号の本県直撃による記録的豪雨の影響で土砂崩れが相次いだ足利市では、20日も土砂災害の発生の恐れがあるとして避難勧告が出されている。「また崩れるかもしれない」「夜や雨が怖い」ー。避難勧告対象地区の住民は不安を募らせている。

 20日午後、同市助戸大橋町の土砂崩れ現場。緑の木々が生い茂る中、むき出しとなった山肌に、ブルーシートが覆われていた。麓には、生活道路付近にまで流れ出た土砂を詰め込んだ白い袋がいくつも重なっていた。

 台風が本県に近づいていた12日午後9時半ごろ。同所、無職板橋久子(いたばしひさこ)さん(69)は「ドスン」という大きな音を聞いた。「トタン屋根でも飛んだのか」。玄関を開けると、裏山から流れてきた土砂が自宅の目の前まで迫っていた。

 幸い自宅に被害はなく、土砂もボランティアの協力を得て、2日ほどで片付いた。足利の11日の降り始めから13日午前9時までの総雨量は257ミリ。10月に降る雨の2倍に相当する雨量を短期間に記録した。さらに18日から19日にかけて降った雨が、板橋さんの心配を募らせた。「雨でまた崩れてしまうかもしれない」。13日夜に続いて、再び避難所で夜を明かした。

 同市危機管理課によると、20日、市内で確認された土砂崩れは17カ所に上る。避難勧告は市内4カ所の59世帯133人が対象となっている。

 19日には、降雨によって崩落した斜面がさらに崩れる危険性があるとして、同市田島町の住民2世帯6人に、新たに避難勧告が出された。

 避難勧告の対象になっている同所、無職女性(68)は、台風が接近した12日、同市内に住む長男の家に身を寄せていた。翌日の午前中、自宅に戻ると、隣接する山の木が何本も倒れ、自宅敷地内の物置にも倒れかかっていた。「42年住んでいるが、台風でこんな被害に遭ったのは初めてだ」。台風19号は既に去ったが、精神的負担が軽減することはない。

 女性によると、倒れる木の数が日に日に増えているという。22日には雨が降る見通しだ。「夜や雨だと、とっさに避難するのも危ない。しばらくは息子の家に行くしかない」。女性は危機感を強めている。