ブドウ畑に落ちている枝や小石を拾う「こころみ学園」の園生たち=11日午後、足利市田島町

 県内でも各地に台風19号の爪痕が今なお残るが、被害を受け止め、再建へ前を向く人たちの姿もある。台風が本県を直撃してから12日で1カ月。県内外に多くのファンを持つ県南のワイナリーは、ブドウ畑の復旧に力を尽くす。「待ってくれているお客さんのために」。

■人気の収穫祭「今年も」 ブドウ畑など修復急ぐ 足利・ココファーム

 足利市田島町のワイン醸造所「ココ・ファーム・ワイナリー」。崩れたブドウ畑の斜面には土留めが施され、土砂が流れ込んだ駐車場は車が出入りできる状態になった。「お客さんに楽しんでもらえるように」。秋恒例の収穫祭を16、17日に控え、隣接する障害者支援施設「こころみ学園」の園生らが11日も、準備や復旧作業を進めていた。

 「修復できた部分もあれば、手付かずの部分もある」。同ワイナリーの広報担当越知翔子(おちしょうこ)さん(31)は、この1カ月間を振り返る。

 台風の豪雨で山の斜面にあるブドウ畑が崩れ、ブドウの木300本ほどが倒れた。ブドウの木は苗木を植えてから収穫できるようになるまで7年ほどかかるという。越知さんは被害の大きさを受け止めながらも「立ち止まってはいられない。気持ちを切り替えてやっていく」と前を向く。

 園生が畑の手入れなどワイン造りに携わる同ワイナリーのワインは、2008年の北海道洞爺湖サミットの夕食会で出されるなど高い評価を得る。収穫を終えたばかりの畑でワインが楽しめる収穫祭には例年、県内外から約1万4千人が訪れる。1984年から一度も中止したことはなく、「どこを直せば、開催できるのか」(越知さん)と考え、今年は準備を進めたという。

 収穫祭の会場となるブドウ畑。「お客さんに不便がないように」と11日、園生たちが石や枝を一つずつ丁寧に拾った。崩れた道路など一部には台風の爪跡が今も残るが、来場者の笑顔を心待ちにしている。