毎日の朝食だけでなく、食事を取り損ねたときや小腹が空いたときに重宝するパン。だが糖尿病を患う身には、手を出すのをためらってしまう食品である▼その理由は、精白した小麦粉が主原料だと急激に血糖値を上げてしまうからで、各メーカーが糖尿病者向けのパンを製品化している。パン・アキモト(那須塩原市)も開発10年目にして完成が近づく▼着手は2010年。県内の大手ビール工場が撤退し、本県が全国有数の生産量を誇り原料となっていた二条大麦の余剰を懸念したのがきっかけだった。同時期に寄せられた「安価でおいしいパンを」との要望にも押された▼開発は東日本大震災への対応で一時中断した。一度は製品化にこぎ着けたが、現在は製造を中止し、獨協医大の黒田久元(くろだひさもと)臨床教授の監修を受け改良を重ねている▼大麦をメインに全粒小麦、ふすまのほか植物由来の甘味料を使うなど、血糖値上昇を抑える工夫を凝らす。一般消費者を対象にした調査、効果の実証を経て、早ければ来春にも発売できる見込みだ▼「パン屋としてできる最善を尽くしたい」と直営店の藤崎良太(ふじさきりょうた)店長(33)。自身も糖尿病予備軍とあって力がこもる。糖尿病患者は食事には何かと気を使う。メーカーのこうした動きがもっと広がるといい。11月は県の糖尿病予防・重症化防止強化月間。