大久保市長(前列左から4人目)から感謝状を受け取った市消防団第13分団

オレンジと紺の制服に身を包み、地域の防災訓練で整列する市消防団第13分団

大久保市長(前列左から4人目)から感謝状を受け取った市消防団第13分団 オレンジと紺の制服に身を包み、地域の防災訓練で整列する市消防団第13分団

 【小山】台風19号が本県を襲った10月12日深夜から13日未明にかけて、市内の思川で水が堤防を越えてあふれる「越水」が確認された。石ノ上橋の下流右岸の堤防ではあふれる水を食い止めるため、命懸けで土のうを積み上げた男たちがいた。あの夜から約1カ月。市はこのほど、強風と暗闇の中で作業に当たった市消防団第13分団の26人に感謝状を贈った。

 危機は雨がやんだ後に訪れた。13日午前0時半すぎ。第13分団を率いる石橋彰久(いしばしあきひさ)さん(45)=上石塚=に市災害対策本部から指示が入った。「思川が越水。堤防に土のうを積め」。一緒にいた山崎剛史(やまざきこうじ)さん(41)=間中=と顔を見合わせて思わずつぶやいた。「本当かよ」

 市内の思川は「50年に一度」といわれた4年前の関東・東北豪雨でさえ越水はなかった。既に石ノ上橋周辺は冠水していた。やっとの事でたどり着いた橋の下流では、川の水が堤防の舗装路を越えて流れていた。全員、救命胴衣を身に着けた。「川に近づくな」。声を掛け合った。西からの風が強く、あおられて川に転落するのを何より恐れた。

 土のうを積んだトラックが到着し、団員らが並んでバケツリレー方式で土のうを運んだ。強風で土のう袋に付いた砂が目に入ってくる。山崎さんは「越水した堤防に土のうを積むなんて想像していなかった。そこまで行ったら逃げるしかないと思っていたから」。夢中で土のうを積んだ。決壊しないように祈るしかなかった。

 約30分で作業を終え、団員は退避した。石橋さんは「夜が明けて川の増水が止まったのが確認できるまで、気が抜けなかった」という。市によると、石ノ上橋下流右岸の堤防では約20センチの水深で約25メートルにわたり越水。新間中橋下流の両岸でも越水が確認された。

 このほど行われた感謝状伝達式で大久保寿夫(おおくぼとしお)市長は「身の危険を顧みず、災難を未然に防いでくれた」と、第13分団に最大級の賛辞を贈った。その上で「このような越水がないよう、思川の堤防強化に努める」と決意を述べた。