ギョーザを味わう訪日外国人旅行者が増えている。海外でのギョーザ人気が高まる中、看板メニューとする店が都内で増加しており、外国人が選ぶ日本食として存在感を高めている。「ギョーザの街」を掲げる栃木県宇都宮市もブームに乗って外国人誘客を進めている。
1月24日夜、東京・赤坂のレストラン「GYOZA(ギョーザ) IT.(イット)」。満席の店内では日本人客に交じり、ギョーザに舌鼓を打つ欧米やアジア系外国人の姿があった。
3年前に出店した運営元の味の素冷凍食品(東京)によると、外国人客は前年比2割増が続く。同社は「東京五輪・パラリンピックがある今年はさらに楽しみ」と期待を寄せる。
検索ワードの相対的人気度を見るグーグル・トレンドで調べると、「GYOZA」の人気度は全世界で右肩上がり。10年前に比べ、人気度は4~5倍水準になった。ワインやシャンパンと一緒に楽しむ「ギョーザバー」が仏パリで話題を集めたことや、焼きギョーザを扱う日本の外食チェーンの海外店舗が増えたことが人気の背景にあるとされる。
並行して都内をはじめとした首都圏で専門店やギョーザバーが増え、ギョーザを食べ歩く「餃子(ぎょーざ)女子」という言葉も広まった。通算1千軒以上で食べ歩いたという、ギョーザ専門ブログ「東京餃子通信」の塚田亮一(つかだりょういち)編集長(45)は「6年前ごろからギョーザを主役にした店が急増した」と分析。新興店だけでなく老舗が脚光を浴びる現象もあるといい、会員制交流サイト(SNS)普及をその一因に挙げた。
ブームに追い風を感じるのが宇都宮市だ。昨年9~12月には外国人にSNSで市を発信してもらう事業「餃子で世界征腹計画」を展開。目標の500人には届かなかったが、世界34カ国約300人が参加し、市の担当者は「反応はいい」と手応えを語る。
一方、外国人旅行者が多い京都は空前のギョーザブームに沸き、川崎や仙台などでも地域を挙げたPRが始まっている。競争が激化すると、宇都宮に足を運ぶ人が減るとの見方も一部にあるが、「宇都宮餃子のブランド力は群を抜く。逆風にはなりえない」と塚田さん。ギョーザ人気は県都にプラスに働くと見ている。