例年は春休み中の子ども連れなどでにぎわう東武鬼怒川温泉駅前広場。感染拡大の影響で観光客が激減している=2日午後、日光市鬼怒川温泉大原

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、日光、那須塩原市、那須町などの温泉街の宿泊施設が今月、休館や営業規模縮小を余儀なくされている。首都圏を中心とした外出控えにより客足が激減。終息が見通せない中、現場からは「このままだと持ちこたえられないところが出てくる」と悲鳴が上がる。

 日光市鬼怒川温泉で最大客室数を誇る「きぬ川ホテル三日月」は6~10日に休館する。オープン以来初めてという。益子美智緒(ましこみちお)総支配人は「稼働率が高い桜の季節だが、団体客が全てキャンセルとなり個人客も減っている」。大規模改修を終え、今月営業を再開したばかり。「企業努力で持ちこたえるしかない」と吐露する。

 「鬼怒川グランドホテル夢の季(とき)」はゴールデンウイーク前までの平日の半分を休館にする。「団体客などの予約が入らず、今月は前年の1割程度」と波木恵美(なみきえみ)社長。「一時的に我慢するので、国は感染を抑え込むための対策を取り、影響を長引かせないでほしい」と訴える。

 鬼怒川・川治温泉旅館協同組合の庄田哲康(しょうだてつやす)理事長(50)は「4~6月を乗り切れるかが大きなヤマ場。終息まで時間との戦いになる」と厳しい口調。

 おおるりグループは那須塩原市の塩原温泉で展開する大型ホテル3館のうち2館を今月末まで休館し、「ホテルおおるり」1館の営業に絞っている。グループ全体の総支配人石井俊弘(いしいとしひろ)さん(67)は「東日本大震災時でもなかった事態」と話す。

 同温泉観光協会長で旅館「光雲荘」の君島将介(きみしままさゆき)社長(59)は「4月の宿泊予約は前年同期比で9割減った。どこも似たようなものだろう」と頭を抱える。来週から従業員を休ませ、営業規模を半分か3分の1にする。業績悪化で従業員を休業させた企業に支給される雇用調整助成金を活用するつもりだが、収入が途絶える休館には踏み切れず「外出自粛ムードの中、今は生殺しの状態だ」。

 苦境は那須も同じ。同町湯本、松川屋那須高原ホテルは2日朝の時点で5~9日の予約がゼロ。「平日4日間の休館を決めた」という同町観光協会会長の広川琢哉(ひろかわたくや)社長(52)は「『来てください』と宣伝できないのがつらい。感染が収まれば手の打ちようもあるが」とため息をついた。