新型コロナウイルスの感染予防のため、握手はせずにお辞儀をして支持を訴える立候補者(左)=5日午前、矢板市内

 5日告示された矢板市長選は、新型コロナウイルス感染拡大を受け、選挙戦は様変わりした。一騎打ちとなった現職、新人の両陣営とも出陣式は行わず、密集回避のために第一声を分散実施したり、人を集めない街頭演説を第一声に代えたりした。候補者はマスクをし、支持者と握手する恒例の光景も消えた。新型コロナとも闘う異例の選挙。有権者からは「みんな出歩かず、投票率も下がるのでは」との懸念の声も上がった。

 第一声を3カ所に分けて行った新人和田安司(わだやすじ)氏(59)。同市矢板のカインズ矢板店前の交差点には、午前11時の第一声開始前から多くの支持者が集まった。

 到着した選挙カーから降りてきた和田氏は、マスクと白い手袋を着用。自らの拳と支持者の拳を合わせる「グータッチ」で、あいさつして回った。

 選挙カーのスピーカーからは「感染防止のため、握手をせずにお願いさせていただいていおります。一定の距離を置き、街頭演説を最後までご清聴いただければ」とのアナウンスが何度も流れた。

 現職斎藤淳一郎(さいとうじゅんいちろう)氏(47)は午前10時すぎ、第一声に代えて、同市鹿島町の交差点で拡声器を使って街頭演説を行った。「仮に市内で感染者が確認された場合、選挙運動を中断し、対策に取り組む」

 まばらに並ぶ十数人の支持者を前に「もっと大きい敵は新型コロナ」と強調。最後にマスク着用や手洗いの励行なども訴えた。

 出陣式を当初予定していた近くのスーパー前に人が集まっていたため、次はマスクを着けて選挙カーのマイクで演説。終了後、支持者に駆け寄ったが、距離を置いてあいさつするだけで、握手はしなかった。

 各候補者の演説を聞くために集まった有権者も大半はマスク姿。同市荒井、主婦本田京子(ほんだきょうこ)さん(82)は「相手ともコロナとも闘わなければならず、候補者は大変」と実感する。

 同市片俣、農業女性(76)は「コロナ対策で運動縮小は必要だと思うが、選挙ムードが盛り上がらず、市民の関心が薄れないか心配。みんな出歩きたがらないから、投票率も下がるのでは」と危惧していた。