防護服に身を包み、客船の前に立つ江連さん(右端)=3月20日、横浜市の大黒ふ頭

「正しい消毒方法を広めたい」と話す江連さん=5月28日、大田原市上石上

防護服に身を包み、客船の前に立つ江連さん(右端)=3月20日、横浜市の大黒ふ頭 「正しい消毒方法を広めたい」と話す江連さん=5月28日、大田原市上石上

 栃木県民を含む712人の新型コロナウイルス集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」。大田原市上石上で遺品整理・ごみ回収などを行う「エヅリン」を経営する江連秀夫(えづれひでお)さん(46)は、この豪華客船の清掃に当たった1人だ。24時間3交代制で6日間、完全防備での除菌作業。緊急事態宣言解除で「第2波」が懸念される中、「経験を生かしたい」と学校や企業で講習活動も始めている。

 「消毒液をたっぷり含ませたペーパータオルで、必ず一方方向へ拭いて。往復するとウイルスが広がってしまう」

 5月26日午後、同市野崎中で開かれた講習会。江連さんは、同校と近隣小学校の教職員ら約30人に除菌作業を指導した。ビニール手袋は2枚重ね。机やいすの表面だけでなく、持ち手の内側や脚の裏もしっかりと拭く。「黒板やロッカーは手の届く所までで十分。上よりも下の部分の除菌が重要」などとアドバイスした。

 クルーズ船の除菌作業への参加は、自身が理事として加盟する一般社団法人「日本特殊清掃隊」からの依頼がきっかけだった。「怖さもあるが、いろんなことを学びたい」と覚悟を決め、3月20日から参加。同社の従業員も順次応援に駆け付けた。

 外国人の専門家から講義を受けた後、全身防護服で作業に当たった。船内レストランなどでテーブルの脚の裏やごみ箱の底、引き出しの奥などあらゆる場所を拭き、じゅうたんは消毒液でびしょびしょにぬらした。それが「除菌」だった。

 船内ではトイレ利用や飲食ができず、一日に4回は下船。その度に防護服一式を着替え、全て捨てた。「見えない闘いで作業の効果が分かりにくい。どれだけ妥協せずにやれるかが大事だ」と実感した。

 作業中は徹底した感染対策を講じたが、帰宅後は「万が一を考えると家族に迷惑は掛けられない」と、しばらくはキャンピングカーで寝泊まり。感染を疑われたり、「お金のために行ったんだろう」と言われたりすることもあった。

 現在は、クラスター(感染者集団)が発生した病院などでの除菌や感染予防のための企業での清掃などの仕事が相次ぐ。講習事業には「専門家から教わった正しい消毒方法。それを広め、感染予防に貢献したい」との思いで臨んでいる。