市文化会館付近に住む高齢男性宅で捕獲されたハクビシン

 宇都宮市内で野生動物のハクビシンが増え、農業や生活環境への被害が深刻化している。市がまとめた2019年度の捕獲数は過去最高の166匹、農業被害額は約1千万円に上った。市街地での住宅被害も増えており、市は本年度から対策を拡充。市の貸し出しわなで住民がハクビシンを捕獲した場合、無償で回収処分する取り組みを始めた。

 ハクビシンは額から鼻にかけて白い線があるのが大きな特徴。イチゴやブドウ、トウモロコシなど甘い果樹や野菜を好んで食べる。

 市農林生産流通課によると、農村部だけでなく、中心市街地でも家屋の屋根裏などにすみつき、ふん害や騒音が問題に。市が貸し出したわなによる捕獲数も2017年度は93匹、18年度117匹と年々増え続けている。

 19年度の農業被害額は18年度の約900万円を上回り、野生鳥獣被害額のトップだったイノシシを抜いて初めて最多となった。

 市文化会館付近の住宅地にある高齢男性宅では、昨年から庭にふんをされるようになった。ふんの中には銀杏(ぎんなん)の種があったという。わなを仕掛けると、3~5月にハクビシン5匹とタヌキ1匹が捕まった。

 市は無料でわなを貸し出しているが、処分費用については、市民に1万円近い自己負担があった。本年度からは、県猟友会宇河支部に回収と処分を委託。捕獲には市の許可が必要で、ハクビシンのほか、タヌキやアライグマも対象にした。

 同課は「野生動物は感染症を媒介する恐れもあり、市民の健康と安全を守るためでもある」と説明する。

 宇都宮大地域デザイン科学部の高橋俊守(たかはしとしもり)教授(地域生態学)によると、市内643の小地域(町丁・字等)で13~18年にハクビシンが確認されたのは103地域。人口換算で約4割に当たる市民が対策が必要な地域に住んでいるという。

 高橋教授は「不幸なハクビシンを減らすためにも、侵入防止や、ごみの管理といった地域ぐるみの対策が求められる」としている。