疫病神が書いたとされるわび状を展示する会場

 江戸時代に疫病神が書いたとされるユニークな空想上のわび状が18日まで、栃木県鹿沼市文化活動交流館郷土資料展示室で特別展示されている。旗本の息子宛てとするわび状で当時、この息子の名前を張り紙すれば疫病退散できると流布したとされる。市教委文化課は「現在も昔も病に対する人々の不安は同じ。わび状を展示することで新型コロナウイルス退散の願いを込めた」としている。

 展示は、2015年に市内で見つかり初公開の県内4例目となる掛け軸のわび状など計3点。掛け軸のわび状は縦約161センチ、横41センチ。中央に円形でわび証文が書かれており、1820~44年ごろに作られたと考えられている。

 証文は、旗本仁賀保(にかほ)家当主の息子金七郎(きんしちろう)宛て。同家江戸屋敷に侵入し金七郎に捕まった経緯と、命を助けてもらったことで今後は「仁賀保金七郎」と書かれたところには入らないと約束したことを記している。

 空想上の内容が記されていることから、同わび状は「偽文書」と見なされ、長い間、歴史学や古文書学では研究の対象外だった。近年、「偽文書」を通して当時の人々の信仰や社会の在り方が分かるとして、民俗学などで研究の素材となっている。

 入館無料。午前9時~午後5時。11、17日休館。(問)同館0289・60・7890。