男子400メートルリレーを制した作新学院高。3走の野口からアンカーのマデロ(右)にバトンが渡る=9日、カンセキスタジアムとちぎ

 さまざまな思いが真新しいスタジアムに交錯した。8、9の両日、カンセキスタジアムとちぎ(県総合運動公園陸上競技場)で開かれた栃木陸上競技協会の第1回記録会。新型コロナウイルスの影響で全国高校総体(インターハイ)などが中止となる中、高校3年生にとってはようやく巡ってきた活躍の場だった。「力を出し切った」「走れて感謝」。選手たちの横顔には充実感が漂っていた。

 男子400メートルリレータイム決勝。昨夏のインターハイ6位の作新学院高が、バトン渡しでミスをしながらも大学生や実業団を抑えて優勝した。タイムは41秒38。今季最初の公式戦を終え、アンカーのマデロ・ケンジは「まだまだ記録は伸びる」と悔しそうな表情を浮かべた。

 メンバーは全員3年生。昨年から野口祐叶(のぐちゆうと)、カトラル・ニール・マイケル、マデロが残り、大根田翼(おおねだつばさ)を加えた4人は今夏も期待されていた。インターハイが中止となり、「本当にショック。去年より上を目指していたし自信もあった」と野口は残念がる。

 それでもコロナ禍の中で「技術とメンタルを磨いてきた」とカトラル。21日の県選手権に出場し、全国レベルの実力を証明するつもりだ。マデロは「インターハイ本番のつもりで臨みたい」と4人の思いを代表した。

 受験勉強の合間を縫って出場した選手もいた。女子5000メートル競歩の県高校記録保持者の内藤未唯(ないとうみゆ)(石橋)は8日、英語検定試験を受けた後にレースに出走。調整不足もあり記録は目標に届かず、「もう少しいいタイムが出ていたら、競技志向で進学先を選んだのに」と悩みを吐露した。

 競技生活のひと区切りとした選手も多い。昨年、男子200メートルでインターハイに出場した関根功織(せきねいおり)(宇都宮)は「最後に一本走りたかった」と同級生3人と引退を先延ばしし、100メートルに出場。女子棒高跳びの但野愛果(ただのあいか)(白鴎大足利)は右足首の靱帯(じんたい)断裂から復活し、自己ベストタイの3メートルをマーク。「よくここまでやれた。お世話になった先生方にも感謝したい」と爽やかに振り返った。

 記録会には約110人の高校3年生がエントリーした。栃木陸協の渡辺方夫(わたなべのりお)理事長は「3年生が新スタジアムに立つ機会をつくれたことは良かった」と安堵(あんど)の表情。「コンディション調整は難しかったと思うが、よく頑張っていたと思う」と健闘をたたえていた。