備品を入念に消毒するホテル「ゆの森」のスタッフ。東京追加を前に感染対策の徹底を改めて心掛けている=18日午後、日光市湯元

 政府の観光支援事業「Go To トラベル」のスタートから22日で2カ月が経過した。栃木県内は高価格帯の宿泊施設を中心に利用者を集めている半面、低価格が売りの宿では苦戦が続き、明暗が分かれている。10月1日から割引対象に東京発着旅行が追加される。期待を寄せる施設がある一方、条件が合わず事業に参加できない施設からは、条件の見直しを願う声も出ている。

 「予想以上の効果。むしろ事業が終わった後が心配」。奥日光湯元温泉のホテル「ゆの森」(日光市湯元)の女将(おかみ)、成瀬亜希(なるせあき)さん(46)は、手応えを感じている。

 1人1泊2万円台からと湯元温泉ではやや高めの料金設定だが、近県や本県内から事業の利用者が相次ぐ。7、8月の客数は前年を超え、今後の予約も順調。新規の客が多いといい、「せっかくの割引を使い、いつもよりリッチに」との利用者側の心理がうかがえる。

 1万~3万円台の数プランをそろえる鬼怒川温泉の「鬼怒川パークホテルズ」(同市鬼怒川温泉大原)。小野真(おのまこと)社長(48)も「例年とは逆に、今年は高い部屋から埋まっていく。8月は昨年にこそ届かなかったが、学校が夏休みを短縮し家族旅行が減った中、事業がなければ大変なことになっていた」と胸をなで下ろす。

 一方、那須高原にある1万円前後の「ペンション ルポゼ」(那須町大島)は8月の客数が昨年の3分の1にとどまった。オーナーの山本和子(やまもとかずこ)さん(53)は「連休は順調で平日が弱い。徐々に回復しているけれど、まだまだコロナが気掛かりなお客さまが多いのでは」とみる。

 18日から東京発着の予約受け付けが始まった。「まだ動きは大きくない」ものの、「事業スタート時の東京発着の除外で予約をキャンセルした方も多い。そうしたお客さまが10月の東京追加で少しでも足を運びやすくなれば」と期待を寄せる。

 参加施設に明暗が出る中、事業に参加できない業者にも苦しい声がある。

 益子県立自然公園「益子の森」内の宿泊施設「フォレストイン益子」(益子町益子)は電話予約のみのシステムで、ネット予約の仕組みが必要な「Go To」に参加できずにいる。

 6千円前後で全10室の宿。8月の客数は前年の5割ほどと苦戦が続く。フロント担当の川又孝宏(かわまたたかひろ)さん(62)は「今からでも事業に参加できるよう条件が変われば、拒む理由はないのだが」と、ため息をついた。