30日を最後に惜しまれつつ閉店する「珈琲専科茶羅」

 栃木県大田原市紫塚1丁目の老舗の喫茶店「珈琲(コーヒー)専科 茶羅(ちゃら)」は30日の営業を最後に、41年の歴史に幕を下ろす。昭和レトロ感が漂う上品な店の雰囲気や、創業から変わらないコーヒーの味が地域住民から長年愛されてきた。新型コロナウイルス感染症拡大による経営の悪化が閉店の主な理由で、常連客からは惜しむ声が上がっている。

 同店は1979年創業。店主小池卓(こいけすぐる)さん(40)は2代目で、約10年前に父義雄(よしお)さん(65)の後を継いだ。

 コーヒーはサイホンで抽出。名物の「カフェ・オレ」は、ポットに入ったコーヒーと牛乳を、同時に高さを付けて注ぎながら混ぜ合わせる演出を加えている。ノスタルジーを感じる居心地の良い空間も魅力で、「長居のできる店」として客を懐深く受け入れてきた。

 新型コロナの影響で、3月以降は客数が半減。創業当時から通う70~80代の客も多く、卓さんは「感染者が出てしまうと重症化しやすい。本来はくつろいでもらう場所なのに『ゆっくりして』と心から言えなくなった」と悩んだという。

 緊急事態宣言を受け、4月末から5月上旬まで休業。再開後も客足が戻らなかったこともあり、葛藤の末、7月ごろ閉店を決めた。

 8月の閉店公表後は客が殺到し、現在は連日満席に。常連客の佐久山、加藤周一(かとうしゅういち)さん(70)は「良い雰囲気の喫茶店はあまりない。店主と話したり雑誌を読んだりと、日常の息抜きの場所だったので寂しい。これからはどこで飲もうかな」と、カウンター席で「モカマタリ」を味わいつつ閉店を惜しんでいた。

 卓さんは「お客さん同士が結婚して子どもを連れて来てくれたり、親子3世代で通ってくれたりする。お客さんの人生を一緒に体験させてもらえてうれしかった」と振り返る。

 「支えてくれた常連には申し訳ない気持ち。『最後の日も来るよ』と今から言ってくれる方もおり、やってきて本当に良かったと感じる」とかみ締めていた。