感染者が出た公立小中学校の校名を原則公表している佐野市。9月に中学校2校で感染者が出た際は、津布久貞夫教育長が記者会見で公表した=9月中旬、佐野市役所

 学校で新型コロナウイルスの感染者が出た場合の校名公表について、栃木県や各市町で対応が割れている。県教委は誹謗(ひぼう)中傷などの懸念から県立学校の校名を非公表とする一方、佐野市は小、中学校の校名を原則として公表し、県立学校の校名公表も求めている。国は統一的な方針は示しておらず、自治体によって情報公開の範囲に差異が生じている。

 県立学校では18日時点で、計6人の感染者が発生しており、校名は全て非公表としている。商業施設などと異なり、学校内は特定の集団が過ごす空間のため、「公表の公益性が低い」と判断したという。

 公表すると、当該学校の児童生徒の保護者が不当に出勤停止を求められたり、中傷を受けたりするなどの事態が懸念されることにも配慮した。県教委学校安全課によると、関東近郊でも校名公表をしている都県は少ないという。

 これまで各市立小中学校で感染者が出た小山市や日光市なども、校名の公表は見送っている。

 一方、佐野市では9月、市内のホームパーティーを端緒とするクラスター(感染者集団)が発生。感染者が小中学生まで広がったことを受け、感染者が出た学校名を公表した。その後も保護者の同意が得られないケースを除き、原則的に公表する方針だ。

 同市教委によると、感染者の発生に伴う休校時には、保護者らに一斉メールで通知しており、非公表とする意味が薄い上、逆に非公表にすると不正確なうわさの流布が懸念されるという。公表による嫌がらせなどは確認されていない。

 同市の岡部正英(おかべまさひで)市長は2日、県に対し、県立学校で感染者が出た場合の積極的な情報公開を要望した。市教委の担当者は「県立高の場合には、市町をまたいで通学するケースも多い」と指摘し、佐野市から他市に通学する生徒がいることも念頭に、校名公表を求めている。

 だが県教委は今後も非公表の対応を変える考えはなく、「校内でクラスターが発生した場合など、状況によっては公表を検討する余地がある」としている。

 校名公表の在り方を巡っては全国的に判断が分かれており、国の統一的な判断を求める声もある。ただ、文部科学省の担当者は「文科省として統一的な方針は出していない。公開する情報の範囲は、地域の実情を踏まえた各自治体の判断に委ねている」と話した。