那須烏山市下境地区に整備される霞堤のイメージ図

 国交省常陸河川国道事務所と那須烏山市は23日、同市下境地区で住民説明会を開き、被災のリスクがある住宅の集団移転について、市が2024年度までに事業計画を作る意向を明らかにした。同地区は昨年10月の台風19号で那珂川が氾濫し、浸水被害に遭った。説明会では国が同地区に整備する、開口部を設けた堤防「霞堤」の予定位置なども説明した。「霞堤の測量については住民の了解を得た」として、24年度までの完成に向け、作業に入っていくという。

 市は、被災した住居を集団で高台などに移転する防災集団移転を、下境地区と宮原地区を対象に検討している。説明会は下境地区の住民を対象に22、23日の2日間、計6回開いた。

 防災集団移転の実施には区域や世帯数、移転先のインフラ整備、住宅建設の補助などを盛り込んだ事業計画を定める必要がある。佐藤光明(さとうみつあき)都市建設課長は説明会後、「国が進める霞堤の事業計画と同様、24年度までには計画をまとめたい」と話した。

 移転対象の区域については「台風19号で浸水被害に遭った住宅」を線引きの基準に考えるとする一方、「隣は移転するが、その隣は移転できないというようなコミュニティーの分断は避けなければならない。何より住民の意向を最優先に考えていく」と重ねて強調した。移転先については「候補地はあると思っているが、そこまで話(の段階)は進んでいない」とした。

 宮原地区の住民にも、年度内に説明の場を設ける予定で、その後も勉強会などを開いて両地区の住民の意向をくんでいく。

 国が今回公表した霞堤の概要によると、下野大橋付近から、那珂川と荒川の合流部にかけ直線距離で約2キロにわたり堤防を整備。合流部付近の地形を利用して左岸に開口部を設け、遊水機能を持たせる。堤防の高さは5メートルほどの見込みという。

 常陸河川国道事務所の堀内輝亮(ほりうちてるあき)副所長は「上流から氾濫して水が来るのではなく、下流の開口部からやんわりと水が入ってくる形になる。遊水で水を止めていく手法は、これからの流域治水で非常に重要」と強調した。測量や設計が終わり次第、結果を住民に説明していくという。