特殊詐欺防止を腹話術で訴える和久さん

 栃木県鹿沼市内のボランティアグループ「プリティワールド」(高杉洋一(たかすぎよういち)代表)で腹話術を学ぶ和久正行(わくまさゆき)さん(69)=高根沢町=の特殊詐欺被害防止を訴えるステージが、高齢者サロンなどで人気を呼んでいる。元警察官の経験を生かし、笑いの中にも犯人のリアルな誘導などを織り交ぜ、被害防止を訴える。和久さんは「高齢者がせっかくためたお金。被害に遭わないように自分の経験、腹話術が役に立てば」と話す。

 和久さんは2011年、県警航空隊副隊長で退職。機動隊副隊長を務めたほか、長く刑事畑を歩んだ。腹話術は妻さとみさん(64)が先に始め、和久さんは当初、高根沢町の自宅からけいこ場がある市内まで車で送迎していた。「警察官時代は仕事柄、笑い声はなかった。笑いを誘える腹話術で人助けができれば楽しい人生になるはず」と、すぐにのめり込んだという。

 腹話術を始めて4年。衣装はカラフルな布を自分で手縫いした。ステージネームは「ムーミンパパ」。自慢の演目は「甚六(じんろく)じいさん だまされる」。

 相方の操り人形が甚六さん役となり、おれおれ詐欺の電話で現金を振り込んでしまう。和久さんは尻上がりの栃木弁を使い、甚六さんを相手に「風邪で声が変わったと言ったべ」「次は現金が入ったかばんが盗まれた」「代わりの者が現金を取りに行くと言った?」などと犯人とのやりとりを再現してみせ、詐欺だと指摘。最近のカード詐欺なども紹介し、最後は甚六さんや会場の人に言い聞かせるように「絶対、一人で対応してはだめ。誰かに話すか警察に連絡を」と締める。

 指導する高杉敬子(たかすぎけいこ)さんは「今年はコロナ禍で公演は少ないですが、高齢者サロンなどで大人気。2本の指し棒で操る人形も表情豊か。何よりせりふがいい」と評する。和久さんは「腹話術は奥が深い。自分の歩んだ道を題材に演じられれば」と、レパートリーを増やす考えだ。