居室の一角に設置された簡易陰圧装置

 社会福祉法人「茂木福寿会」が運営する茂木町飯(いい)の特別養護老人ホーム「ききょうの里」(広域型、50床)はこのほど、新型コロナウイルス対策としてウイルスを室外に漏らさないよう気圧を低くする「陰圧室」を自己資金で設置した。医療用カーテンで仕切るゾーニングや施設の改装も行い、コロナ対策に力を注いでいる。栃木県内の高齢者施設では今後、国庫補助で陰圧室の設置が進む見通しだが、県によると「自前での設置例はあまり聞かない」という。

 罹患(りかん)すると利用者が重症化するリスクが高い特別養護老人ホームなどの高齢者施設では、新型コロナ対策の強化を迫られている。

 回廊式の同ホームは、利用者に陽性者が出た場合に看護と介護のため一部の担当者しか入らないレッドゾーン、緩衝帯のイエローゾーン、事務室と厨房(ちゅうぼう)等のグリーンゾーンに分け、感染拡大を防止する対策を立てた。

 レッドゾーンの4人部屋1室の一角に自前で移動型の簡易陰圧装置1台を導入。米国の疾病予防管理センターの感染予防ガイドラインに準拠した陰圧室になる工事を10月下旬に完了した。来月には隣の部屋にも国庫補助で同型の装置1台を入れる。2室を陰圧室とすることで、クラスター発生時の対応を強化し、部屋を男女に分けることもできるという。

 他に感染疑いのある職員宿泊用としての部屋の改装工事や自作の簡易カーテン設置など、補助金400万円余りを含め、対策費に計約900万円を充てている。永野由美(ながのゆみ)施設長(53)は「職員も不安を感じていた。補助事業だと設置に時間がかかるので先駆けて整備し、安全安心をアピールする狙いもあった」と話した。

 県高齢対策課によると、国の2次補正予算で県内48法人112カ所の特養ホームや介護老人保健施設等が国庫補助による陰圧室設置を予定している。