益子町が茨城県笠間市と共同申請し認定された日本遺産「かさましこ ~兄弟産地が紡ぐ“焼き物語”~」。ストーリーの主要な構成文化財とともに、地域資源の魅力などを紹介する。

勾配の大きなかやぶき屋根などが特徴の本殿

 一の鳥居、二の鳥居をくぐる。99ある石段を登り切る。1月初旬の朝の冷気に、吐く息も一層白い。境内地に張った霜柱を踏みしめた。ザクッ、ザクッ。冬の音が鎮守の森に響く。美しい曲線のかやぶき屋根に三間社流(さんげんしゃながれ)造りの綱(つな)神社本殿前で足を止めた。優美さを備えた荘厳なたたずまい。歴史の重みが伝わる。

 11世紀に下野国を拠点とし、その後の約500年間、益子と笠間の地を治めた宇都宮氏。3代当主朝綱(ともつな)が鎌倉時代の建久5(1194)年に土佐の加茂明神を迎えて創建し、現在の社殿は室町時代の16世紀前半に建立された。

 「宇都宮氏は武士にとどまらず、京都の貴族との接点を持ちながら統治先の宗教・文化面に大きな足跡を残した」。綱神社宮司を兼務する亀岡八幡宮(はちまんぐう)(益子町小宅)の横山仁美(よこやまひとみ)宮司(71)は説明する。

 綱神社に近い宇都宮家の菩提(ぼだい)寺・地蔵院の本堂、初代~33代が眠る宇都宮家の墓所も巡った。「かさましこ」の源流に思いをはせた。

 メモ 益子町上大羽2350。主祭神は安遲鉏高彦根命(あじすきたかひこねのみこと)。1950年に本殿が摂社「大倉神社」と共に国重要文化財指定。毎年11月に例大祭が開かれ、太々神楽が奉納される。

 ミニ知識 日本遺産は、地域の文化財を観光振興や地域活性につなげることを目的に文化庁が2015年度に始めた制度。20年度までに全国の計104件が認定された。「かさましこ」の構成文化財は益子町18件、笠間市17件の計35件。