益子町が茨城県笠間市と共同申請し認定された日本遺産「かさましこ ~兄弟産地が紡ぐ“焼き物語”~」。ストーリーの主要な構成文化財とともに、地域資源の魅力などを紹介する。

通常は写真撮影できない十一面千手観音立像。特別に許可を得た

 「四方を木々に覆われた環境で僧侶が臨んだ厳しい修行寺。楞厳寺(りょうごんじ)の名前の由来と言い伝えられている」。一昨年11月に現住職の長男に譲るまで42代住職だった田中大孝(たなかだいこう)閑栖(かんせい)(79)が、穏やかな口調で語った。

 茨城県を代表する臨済宗妙心寺派の名刹(めいさつ)。鎌倉時代中期、宇都宮氏の一族で笠間初代の領主笠間時朝(かさまときとも)が鎌倉五山の名僧大拙(たいせつ)和尚を迎え律宗から禅宗に改め中興させ、笠間氏の菩提(ぼだい)寺となった。

 禅宗様式の四脚門や切り妻造りのかやぶき屋根が特徴の山門、鎌倉時代の作とされる十一面千手観音立像(ヒノキ材寄せ木造り、像高約2メートル)は共に国重要文化財に指定されている。

 カシ類やサカキの自然林が残る笠間県立自然公園の一角に境内がある。観音堂や太子堂、本堂をゆっくり巡り、手を合わせ拝観した。静寂さと厳粛さに包まれる中、深呼吸する。時の流れが止まったようだった。

 メモ 茨城県笠間市片庭775。本尊は大日如来。北関東自動車道笠間西インターチェンジから車で約20分。(問)0296・72・4733。

 ミニ知識 十一面千手観音立像は境内の収蔵庫に安置されており、拝観(無料)する場合は事前の電話予約が必要。楞厳寺の裏山は片庭ヒメハルゼミの発生地として国天然記念物指定。