「記念写真は未来へ残す宝物」と語る植田さん夫妻=日光市石屋町

撮影した写真を確認する植田さん夫妻=日光市石屋町

「記念写真は未来へ残す宝物」と語る植田さん夫妻=日光市石屋町 撮影した写真を確認する植田さん夫妻=日光市石屋町

 コロナ禍の影響で、街の写真館が苦境に立たされている。結婚式や七五三、成人式など「ハレの日」の延期や縮小、中止が相次ぎ、写真需要が減少。国の緊急事態宣言の再発令により、自粛ムードにさらなる拍車を掛けた。栃木県内45社が加盟する県写真館協会によると、売り上げは多くの写真館で前年比3~4割減という。関係者は「写真は未来への宝物になる。人生の節目を記録するお手伝いをさせてほしい」と呼び掛けている。

 「コロナ禍の前は、飛び込みで外国人のお客さまがいらっしゃることも多かった」。週末でも人通りがまばらな通りを眺め、日光市石屋町で「フォトスタジオ久良多」を営む植田光伸(うえだみつのぶ)さん(45)、朝子(あさこ)さん(44)夫妻は声を落とした。

 婚礼関係では、日光東照宮や神橋など市内の観光名所を生かした撮影を多く手掛けてきた。1度担当した顧客は住まいが県外であっても、子どもの誕生など人生の節目にふたたび利用してくれるケースが多いという。

 しかし新型コロナウイルスの感染拡大で結婚式の写真需要は激減。当初100人規模だった披露宴が親族のみの会食に縮小となるなど、撮影の機会は大幅に減った。「自粛ムードの高まりからか年賀状用写真の動きも鈍かった」と明かす。

 スタジオ内の小まめな換気や消毒の徹底など感染対策にも気を使う。植田さん夫妻は「写真は未来へ残す宝物。今しか撮れない写真もあり、要望などを気軽に相談してほしい」と訴える。

 宇都宮市内で写真館を経営する男性(42)は「昨年4、5、6月の挙式が秋に延期となり、それがさらに春に延期となった」と説明。「緊急事態宣言が予定通りの期間で終わるかも分からず、スケジュールが立てづらい」と苦悩する。

 運動会や修学旅行などの学校行事も縮小が続く。「マスク着用で表情が分かりづらかったり、場面が少なかったり。卒業アルバムの作成にも影響が出ている」と指摘した。

 佐野市高砂町の「神永写真館」代表で県写真館協会会長の小林伸司(こばやししんじ)さん(57)は「成人式は中止になっても『せめて写真だけは残したい』という声が多かった」と語る。「写真館の仕事はお客さまの人生を記録として残すこと。デジタルカメラやスマートフォンで誰もが写真を撮ることができる時代でも、写真館の変わらぬ価値を伝え続けていきたい」と力を込めた。