今年初めて開花した「日の出椿」を見学する児童

 【佐野】とちぎ名木百選の一つとして地域に親しまれながらも枯死してしまった「日の出椿(つばき)」の2世若木がこのほど、移植された出流原小で2本そろって薄桃色のかれんな花を咲かせた。1本は2年前から開花しているものの、残る1本になかなか花が付かず学校と地域が一体となり生育を見守ってきた。待望の知らせを聞いた住民や児童たちは「新しい地域のシンボルになってほしい」と喜んでいる。

 市教委などによると、日の出椿は樹齢500~600年。花芯に見える黄色い雄しべを日の出に例え「日の出椿」と呼ばれるようになったという。1853年には彦根藩主だった井伊直弼(いいなおすけ)が所有者の神山家に立ち寄り、茶室から見えるこのツバキを称賛したと伝わる。

 とちぎ名木百選や市文化財に指定されたが数年前から幹の腐朽が進行して、2018年に枯死が確認された。このためツバキを見守ってきた住民有志が「日の出椿『二世』を育てる会」を結成。挿し木をして育てた約1メートルの若木2本を同11月、同校の協力を得て移植した。

 今年初めて開花したのは、プールの南側に植えた1本で、浅生(あさお)まゆみ校長が12日ごろ直径3、4センチの花を3輪ほど確認した。体育館南側に植えたツバキも順調に花を付け、同会の片柳栄(かたやなぎさかえ)代表(70)は「児童たちの下校見守りボランティアなどを兼ねツバキを見守ってきた。コロナ禍の中で、ほっこりと温かな気持ちになれる」と頬を緩ませる。

 休み時間にツバキを見学した6年川田玲馳(かわだれい)君(12)は「江戸時代に咲いていた花が今も見ることができるのはすごいこと。この学校の宝物です」と白い歯を見せた。