山林で消火活動を行う消防団員ら=25日午前10時10分、足利市大岩町

 民家への延焼を絶対に阻止する-。栃木県足利市の山林火災で同市の対策本部は、山肌と集落の間に5カ所の「防衛線」を設け、放水活動に奮励している。同市大岩町で25日朝、炎が民家の50メートルの距離にまで迫ったものの、地上部隊が食い止めた。出火から5日目も鎮圧が見通せない中、最前線では昼夜を問わず必死の活動が続く。

 「地面にもっと水をまいておけ」

 25日午前10時半ごろ、大岩町の雑木林。防衛線の死守を任された消防署員や消防団員の15人ほどが、ホースから勢いよく水をまいた。「落ち葉も燃える。下にも水を」。上空から消火ヘリのごう音が鳴り響く中、隊員たちは声を掛け合いながら活動を続けた。

 5カ所の防衛線は、民家から数十メートルから数百メートルほど離れている。起点の水源から50~100本以上のホースをつなぎ、枝分かれさせて散水する場所もある。ホースが届かない場所では、隊員が20リットルの水槽を担いで機動的に放水をしたりしているという。

 両崖山と天狗山はこの日も終日、白煙が上がり続けた。延焼の範囲は北側に広がり、通行止めになっている北関東自動車道を越えるなど予断を許さない状況といえる。

 和泉(いずみ)聡(さとし)市長は同日午後の臨時記者会見で、鎮圧に向けた包囲網について「整ってきた」と説明した。消火用の水源については「必要な分を確保できている」という。

 この日から宇都宮地方気象台の担当者が対策本部に常駐し、風向きや気象のアドバイスを始めた。延焼が広範囲におよび長期化する中、延焼場所を的確に把握することで、民家の被害を防ぐ考えだ。

 避難勧告対象区域では日中、避難所から自宅の確認に戻る住民の姿が見られた。同市大岩町、縫製業落合進(おちあいすすむ)さん(69)は「風向き次第で火がまた戻ってくると思うと、不安でしかたない」と消火活動を見守った。同所、佐瀬勝(させまさる)さん(68)は「夜は炎が見えるほど燃えていた。消防の頑張りには感謝しかない」と話した。