栃木県足利市西宮町の両崖山(251メートル)で21日に発生した火災は、25日も鎮火の見通しが立たなかった。延焼面積は午後6時現在、白煙の範囲による推定で約100ヘクタールまで拡大。同市は新たに大岩町の30世帯に避難勧告を発令し、対象は合計207世帯に広がった。政府は同日、首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置。県は同市へ火災では県内初となる災害救助法の適用を決定するなど、各方面の支援を受け消火活動を続けた。
同市によると、25日の消火活動は自衛隊ヘリコプターと本県、茨城、埼玉、宮城4県の防災ヘリが上空から散水し、地上からは同市消防本部、市消防団に加え、県内11市・広域と群馬県4市から消防職員計約150人の応援を受けたという。
また各消防部隊の指揮統制支援を想定し、東京消防庁から緊急消防援助隊の派遣も要請。宇都宮地方気象台は職員2人を派遣し、天気予報などの情報支援を行った。
地上の消火活動は、民家に迫る現場などに五つの「防衛線」を設定して昼夜を問わず放水を続けた。山あいのため近くの学校のプールに建設業者のミキサー車で水を運ぶなどして水源を確保しているという。
避難者は25日午後6時現在、避難所1カ所に7世帯13人が避難。両崖山近くの第一中は26日も休校予定で、北関東自動車道は足利インターチェンジ(IC)-太田桐生IC間で通行止めが続いている。同山頂近くの御岳(みたけ)神社は全焼した。
県によると、災害救助法適用は強風でさらに延焼する恐れがあり、継続的な救助を必要とする場合の要件に該当したという。適用により、避難所設置などに必要な費用を国と県が2分の1ずつ負担する。