新型コロナウイルス感染症患者に対応する遠隔医療支援システムの導入報告会=4日午後、県庁

 栃木県は4日、新型コロナウイルスに対応する一般の入院病床と重症病床をつなぐ遠隔医療支援システムを本格稼働させた。タブレットやスマートフォンを使い、患者の基本的な情報やコンピューター断層撮影(CT)画像、入院患者の映像などを複数の医療機関で共有することで、従来よりも大幅に円滑な診断や転院調整が可能になった。こうしたシステムの導入は全国初で、県などは先進的な取り組みとして発信していく。

 患者の情報はこれまで、個人情報保護の観点からメールなどで共有することができなかった。今回導入したシステムは医療関係者専用のアプリを介して、高度なセキュリティー下で情報共有を可能にした。

 システムは昨年12月下旬に順次導入が始まった。県対策本部統括診療コーディネーターとして重症患者の転院調整を担い、システム構築を主導した小倉崇以(おぐらたかゆき)医師(済生会宇都宮病院救命救急センター長)は「(昨年11月以降の)第3波で大活躍した」と評価する。

 重症患者に対応する医療機関と、新型コロナ患者全般を受け入れる医療機関がつながることで、対応の協議もしやすくなった。転院にかかる診断は従来、医師が当該の医療機関を訪問して診察していたため数時間を要していたが、10分程度にまで短縮できたという。

 県は4日、システム導入の報告会を県庁で開き、小倉医師が福田富一(ふくだとみかず)知事らにシステム概要を説明した。実際に現場の医師とビデオ通話をしながら、患者の情報を基に対応を協議し、重症病床への転院を判断する流れも実演した。一連のやりとりは7分ほどで完了した。

 システムは心筋梗塞や脳卒中といった感染症以外の救急診療にも応用できるという。小倉医師は「限られた時間で多くの患者を診察し、正しい判断をすることができる」と強調した。