コロナ禍の中、県内の百貨店でテナントの退店が相次いでいる。衣料品関係が目立ち、売り上げ減やブランドの廃止などが影響しているためだ。宇都宮市のデパートでは、約1カ月に大小約15のテナントなどが退店し、ショップの入れ替えが進む。百貨店自体の売り上げが減少する中、衣料品の比重を下げた構成に変えるなど、コロナ禍をきっかけに新たな形への模索を続ける。
FKDインターパーク店(宇都宮市)の一角では閉店した店舗スペースが白いパネルで覆われている。一方、向かい側には開店したばかりのショップが並ぶ。
同店では1月末から2月末に、衣料品を中心に大小約15のテナントなどが退店した。不採算やブランドの廃止などの影響が昨年からあり「(感染拡大から)1年たって今がピーク。過去にない退店数」(同店)。
こうした中、同店は客のライフスタイルに合わせたフロアづくりへの転換に挑む。2月にアパレルのセレクトショップや韓国食品店の店舗がオープンし、3月は新たに5店舗が開店する。会員制交流サイト(SNS)を使いこなす若者世代をターゲットにしたフロアなどを意識している。
山口英樹(やまぐちひでき)店長は「時代に合わせてフロアをつくり替えたい。お客さまのニーズとテナントをマッチングさせたい」と強調する。
東武宇都宮百貨店(宇都宮市)の宇都宮本店でも、衣料品などのテナントの退店が相次ぐ。
例えば、1500平方メートル超の6階には昨秋まで12のショップなどが並んでいた。しかし、コロナ禍の影響やフロアの移動などで現在のショップはゼロ。フロアは期間限定で学生服売り場となっている。
「以前から衣料品関係が厳しかった中、コロナで加速された。お客さまのニーズに合わせてフロアを変えていく」と佐藤勝美(さとうかつみ)常務本店長。
これまでのキーワードだった「衣・食・住」のうち衣料品の比重を下げ、「美・食・住・遊・学」の強化を打ち出す。まずは家庭用品などの「住」に力を入れる考え。2月下旬にオープンした手芸用品などの大型専門店「ユザワヤ」(東京都)は売り上げが好調だ。今後、6階フロアは英会話やパソコン教室など「学」を重視した形態をイメージしているという。
売り上げ減が続く中、変化の模索について佐藤本店長は「コロナに背中を押してもらっていると思うしかない」と話した。