高齢者向け新型コロナウイルスワクチンの瓶が入った箱を、輸送用の段ボール箱から超低温冷凍庫に移す宇都宮市保健所の職員。住民への接種がいよいよ本格化する=8日午前、宇都宮市竹林町

 全国で12日から始まる新型コロナウイルスワクチンの高齢者向け優先接種。前例がない規模での接種となるだけに、県内各市町の担当者からは「やったことがないので全てが不安」「正解が分からない」などと、対応に苦慮する声が相次いだ。ワクチン供給の先行きが見えない中での接種計画や医療機関との調整、持病や副反応の対応など課題も多く、手探りの状態が続く。

 圧倒的多数の市町が懸念するのが供給量と時期の見通し。「ワクチンがいつ届くか分からないので接種計画が組めない」(茂木町)、「ただただ手元にワクチンがほしい。来る前提で計算するしかない」(さくら市)との心配が相次ぐ。

 ワクチンが来るかどうかは、接種する医療機関や医師会、高齢者施設との調整、住民予約の受け付けといった準備の根底に影響してくる。那須町は「どれくらいの住民が接種を受けたいのかが見えない」と悩む。

 接種後の副反応や持病がある住民への接種に対する警戒もある。真岡市は「集団接種では個別のカルテや持病がある人の情報が確実にあるわけではなく不安」と話す。足利市も「副反応が出るまでに時間がかかる場合もある。1人暮らしの高齢者が自宅に帰ってから出た場合の対応が課題」と指摘する。

 ワクチンは任意の自己判断で打つことが求められるが、持病や服薬など判断材料は個々で異なる。「基礎疾患のある人からの相談や『本当に受けて良いのか』などの問い合わせもある。自己判断は難しい部分もあるが、不安を取り除くための説明を丁寧に尽くしたい」(高根沢町)。

 塩谷町は「『接種は自身の判断で』と呼び掛けているが、打てばマスクなしの生活になるとか、二度と感染しないという誤解が広まる事態は避けたい」と分かりやすい情報提供の在り方に悩む。

 「集団接種のスタッフ確保が十分ではない」(下野市)、「医療従事者を派遣してくれる都内の業者にもかけあっている」(芳賀町)と人材確保を課題に挙げる声も複数あり、小山市は「ワクチンはデリケートに扱う必要があり、個別接種時の各医療機関への輸送方法」を課題に挙げた。

 宇都宮市は「ワクチンの意義や効果、副反応に関する情報を発信し、国の供給スケジュールに基づき、安心して円滑に接種を受けられるよう体制を整える」とした。