殺処分した豚をトラックに積み込む作業員=18日夜、那須塩原市(県提供)

 那須塩原市の養豚場で豚熱(CSF)が発生したことを受け、県は19日、同日正午現在で約3万7千頭のうち6784頭を殺処分したと発表した。進捗(しんちょく)率は約18・3%。国内の養豚場での感染は本県で13県に上るが、3月末からわずか18日間で5事例が相次ぎ、ワクチンを接種した豚の感染も確認されている。農林水産省は警戒を強め、ワクチン接種に加え、養豚場の飼養衛生管理や野生イノシシ対策の徹底を呼び掛けている。

 県によると、那須塩原市の一つの養豚場で2838頭、別の養豚場で3946頭を殺処分した。消毒などを含めた人員動員は延べ1448人に上った。

 農水省によると、豚熱に感染すると、発熱や食欲不振、元気消失などの症状が現れる。ただ、特徴的な症状がなく、気がつきにくい疾病とされ、農水省は異常を発見した際の早期通報を畜産農家に求めている。

 豚熱は2018年9月、国内では26年ぶりに岐阜県の養豚場で確認されて以降、愛知、埼玉、長野のほか、沖縄の養豚場でも確認された。昨年12月から感染事例が再び目立ち、ことし3月31日以降は奈良県、前橋市、津市、那須塩原市の2養豚場と短期間で相次いだ。

 県によると、本県では検査した計29頭の子豚全てで感染が確認された。子豚は母親の母乳で移行抗体を得るが生後50~60日で効果が切れるため、適切な時期にワクチン接種が必要とされる。本県のケースは生後60日程度でワクチン接種済みと未接種の両方の子豚がいた。

 17日の農水省の防疫対策本部会議で野上浩太郎(のがみこうたろう)農相は「ワクチンを接種しても必ずしも全ての豚が免疫を獲得できるわけではなく、全ての子豚が適切な時期にワクチンを接種できるわけではない」と説明した。

 春になり今後はイノシシの行動が活発化するため、農水省は(1)ワクチン接種(2)感染経路を遮断する飼養衛生管理の徹底(3)イノシシの捕獲と経口ワクチンの散布-を徹底するよう呼び掛けている。