県内で最も早く始まった高齢者への新型コロナウイルスワクチン接種=4月12日、宇都宮市

 高齢者を対象にした新型コロナウイルスワクチン接種について、福田富一(ふくだとみかず)知事は11日の定例記者会見で、栃木県内25市町のうち4市町が、政府が目標とする「7月中の接種完了」が困難との見通しを示していることを明らかにした。県の調査に対する回答で、「完了する」と答えた21市町でも当初計画の見直しを進めるが、医療従事者確保などに苦慮しており、先行きは不透明だ。

 政府の前倒し要請は4月30日付で、7日には大規模接種会場の設置を検討するよう都道府県に求めている。県は同日、全市町に調査を実施した。県は市町名を公表していないが、下野新聞社の調べでは少なくとも矢板市、那須烏山市、高根沢町が「接種完了が8月以降にずれ込む見込み」と回答している。

 矢板市は取材に「医療従事者の確保が難しく、集団接種が週1日にとどまるため」と理由を説明。那須烏山市は1日当たりの接種可能人数を見積もった結果、7月中の完了は難しいと判断した。同市担当者は「ペースアップを検討するが、確実に完了できるとはいえない」と話した。高根沢町も完了は8月中になると答えた。

 「7月中に接種完了予定」と回答した市町のうち、那須塩原市は当初、個別接種を行わずに集団接種のみで9月完了を予定していたが、国の要請を受けて計画を修正。6月中旬からかかりつけ医による個別接種も実施して計画を前倒す。

 茂木町も当初9月完了を見込んでいたが、政府の方針を受けて「7月中完了」と回答。芳賀郡市医師会と話し合い医療従事者の確保に向け調整するが、8月にずれ込む可能性もあるとしている。

 大規模接種会場について、福田知事は「市町と医療従事者確保の競合になる可能性がある。接種体制に影響を与えないことを優先したい」とした上で、「要望があれば状況を見ながら設置の議論を進めたい」と述べるにとどめた。

 県内の65歳以上の高齢者は約55万5千人。一方、政府が公表するワクチン接種記録システム(VRS)によると、4月12日に宇都宮市から始まった県内高齢者のワクチン接種は9日時点で5688回分で、2回接種を終えたのは1人のみとなっている。