新型コロナウイルスワクチンの個別接種を受ける高齢者(中央)=14日午後、栃木市西方町金崎の西方病院

 新型コロナウイルスワクチンの高齢者接種が各地で本格化する中、10日に個別接種を始めた「西方病院」(栃木市西方町金崎)は感染対策に注意を払いながら、慎重に接種業務を進めている。「地域の人へ安心感を与えるのが私たちの役割」と使命感に駆られる職員たち。接種予約は約1500人分が8月末まで入っているが、「少しでも早く接種を進めよう」と今後は1日当たりの接種人数を増やすという。14日午後、同病院を取材した。

 午後2時半、病院1階の内科外来に設けられた個別接種の会場。予診票と接種券を手にした高齢者が受け付けを終え、少し緊張した表情で待機場所の椅子に腰掛けた。

 5月上旬に2千回分の米ファイザー製のワクチンが国から届き、院内の超低温冷凍庫で保管している。その日に使う分は午前中に冷蔵庫へ移して解凍する。その後室温に戻し、生理食塩水で希釈する。注射器には1回分0.3ミリリットルぴったりの分量を用意する。

 この日個別接種に関わったのは、医師、看護師、薬剤師など約15人。細野克子(ほそのよしこ)看護部長(64)は「ワクチン準備は薬剤師の力が大きい。緊張感があるワクチン接種を、職員みんなが連携し取り組んでいる」と力を込めた。

 接種を受ける高齢者は医師による予診で体調やアレルギーの有無を確認後、接種室へ。注射器を手にした看護師が「力を抜いてくださいね」と優しく声を掛け、接種はすぐに終わった。

 接種後、女性(71)は「痛くなかった。コロナは怖いので、これで安心できた」とほっとした表情を見せた。

 1人の接種を終えるごとに看護師は手袋を替え、手指消毒する。「万が一があってはいけない」。感染対策を徹底する。

 懸念されるのが副反応。アレルギーがある人は30分間、ない人は15分間、院内で待機し様子を見る。

 約1時間弱で、この日予定していた25人全員の接種を終えた。個別接種はこの日で4日目。平公一(たいらこういち)病院事務長(45)は「徐々にスムーズにできるようになった」と話す。今後、前倒しで接種できるよう予約者との調整を進める。

 細野看護部長は、同病院でコロナ患者を受け入れていないことに触れた上で、「ワクチン接種で地域に貢献するのがわれわれの役割」と話した。「ワクチンで地域の皆さんが少しでも安心できる生活になってほしい」。職員たちはこの思いで接種業務を続けていく。