五穀豊穣を願い厳かに執り行われた加茂神社例大祭

 【那須烏山】月次(つきなみ)の加茂神社で16日、五穀豊穣(ほうじょう)を祈念する例大祭が開かれた。新型コロナウイルス感染拡大が一つのきっかけとなり、恒例の梵天(ぼんてん)奉納などを廃止し、今年から神事のみ執り行うことになった同神社。地域住民らは長年の営みに区切りを付け、「時代の流れとはいえ寂しい。その分、神事はしっかり引き継いでいきたい」と思いを新たにした。

 同神社は711年創建とされ、社殿が建つ山の名前から「鳴井(なるい)さん」の通称で親しまれている。例年5月の例大祭の際、地域住民らが梵天奉納とまき餅を行ってきた。

 梵天奉納は地域を挙げての一大行事で、長さ約8メートルの梵天十数本を納める。近年は住民の高齢化や、毎年1カ月以上かかる準備への自治会の負担感、奉納の際に駆け上がる約80段の石段の老朽化と危険性が課題となっていた。

 こうしたことやコロナ禍のため昨年、東日本大震災が発生した2011年以来、10年ぶりに中止した。併せて、地域内の議論を踏まえ梵天奉納とまき餅の廃止を正式に決めた。

 「広報みなみなす」によると、梵天奉納は戦後20年以上途絶えた時期があり、旧南那須村時代の1971年に復活した。同誌の同年5月10日号は「米の生産調整などを背景にした農村の沈滞ムードを吹き飛ばす」などと記している。

 この日の神事には同神社世話人や自治会役員ら約10人が参列。拝殿に爽やかな風が吹き込む中、玉串奉納などを厳かに執り行った。

 米作などを手掛ける専業農家の氏子総代平塚充(ひらつかみつる)さん(51)は「梵天奉納の廃止は寂しいが、ほっとした雰囲気も地域内にはある。例大祭のメインは神事。今年は五穀豊穣はもちろん、コロナ禍の早期収束を心から祈念させていただいた」と話した。