新型コロナウイルスワクチンの個人の接種履歴を管理する国の「ワクチン接種記録システム(VRS)」で、栃木県内で入力が遅れている市町が出ている。接種率が一時全国最下位となった県は、この入力遅れを低迷の要因に挙げ、市町に早期に入力を行うよう通知した。一方、入力業務を担う医療現場や市町では作業の煩雑さに苦労し、負担が増している現状がある。

 「漢字表記の名前がハングル文字に誤変換されたり、数字の読み取り間違いがあったり。エラーは日常茶飯事」。今月上旬、日光市今市の森病院で男性事務員が嘆いた。入力作業でシステム異常が相次ぎ、その度に手を止めるという。

 VRSは、専用端末で接種券のバーコードを読み取り、接種日や回数、ワクチンメーカーなどを記録・管理する。この結果を基に、政府が全国の接種率を公表している。

 個別接種を行う同市では医療機関が入力を行うが「こればかりに時間を割いていられない」(男性事務員)のが本音だ。

 システムの不具合は頻発し、全国的に問題となっている。塩谷町担当者も「ピントが合わず、1枚読み取るのに20分かかった」と漏らす。こうした状況の中、県内の複数の市町で未入力の状況があるという。

 集団接種を進める足利市は、市シルバー人材センターに委託することで約4千人分の未入力を11日までに解消したという。接種そのものをまずは優先していたといい、市担当者は「市の業務に直接関係しないVRSまで手が回らなかった」と話した。

 高齢者に加え、64歳以下の接種も始まる7月以降はさらに現場の負担が増える。森病院の別の女性事務員はこうつぶやいた。「焦ってミスが出たら本末転倒。確実に処理したい」