日本-ドミニカ共和国 第2セット、ボールを押し込む黒後=有明アリーナ

 「何もできなかったな…」。ドミニカ共和国の歓喜の輪を眺めながら、バレーボール女子日本代表の黒後愛(くろごあい)は無念さ、ふがいなさをかみしめた。

 準々決勝進出が懸かった1次リーグ最終戦。「日本のエース」。中田久美(なかだくみ)監督が絶大な信頼と期待を寄せる23歳には、試合開始直後からトスが集まった。

 しかし、チーム最初の攻撃でクロスがサイドアウトして天を仰ぐ。その後も頭上にトスが上がるが、タイミングが合わない。「ミスが出た時に切り替える気持ちが出てこなかった」。トレードマークの笑顔がないまま試合は進んだ。

 「切り替えよう」「次、次」。ベンチからも関係者が座る2階席からも声が飛ぶ。「応えたい」という思いは空回り、「うまくプレーにつながらなかった」。レシーブに飛び込んでも、表情は硬いまま。コート上では首を横に振る場面ばかりが目立った。

 下北沢成徳高(東京)での春高バレーや、主将として戦った東レの試合で見せた表情とは違う。魅力であり、一番の武器でもあるはつらつとしたプレーを見せられなかった。

 日本は0-2から1セットを奪い返したものの、粘り及ばず1-3で敗北。1996年アトランタ五輪以来、25年ぶりとなる1次リーグ敗退が決まった。

 夢に見たコートに立ち、日の丸の重みを知った。若返ったチームの中心選手として、リーダーシップも期待された。相当なプレッシャーがあったはずだ。コロナ禍など、さまざまな思いが交錯する中で迎えた五輪。「この舞台に立たせてもらったことはすごく幸せだった」と声を震わせた。

 試合後、安易に“次”への決意を語らなかった。「気持ちを整理して、次の目標を見つけたい」。目に映った景色、今の気持ちを忘れないでほしい。