緊急事態宣言の全面解除が決定し、営業再開へ向けてボトルを拭き上げるバー・ジョージの宮崎さん=28日午後3時20分、宇都宮市江野町

 栃木県でも緊急事態宣言が解除され10月から、県境をまたぐ移動の制約が弱まり、飲食店で8月以来、酒類が提供できるようになる。時短要請もなくなる21市町の飲食や宿泊業者は「やっと本格的に仕事ができる」と喜んだ。宇都宮市のバーは店内を掃除し、仕入れに奔走。那須町の旅館は予約増に期待する。足利、佐野、栃木、小山4市では時短要請が続くが、店主は「お酒を提供できるだけでありがたい」と前向きな声を上げた。

 28日午後、宇都宮市中心部の「バー・ジョージ」。ウイスキーやリキュールなど、少しほこりをかぶった約300本のボトルを一つ一つ磨きながら、オーナーバーテンダーの宮崎裕一(みやざきゆういち)さん(42)は「やっと始まるぞ、という感じ」と期待に胸を膨らませた。

 8月から休業中。「客足がどこまで戻るか」と不安も抱きつつ、仕入れなどを急ピッチで進めている。

 日光市で飲食店を営む男性(59)は「待ち遠しかった」と率直に語る。「日光は国際観光都市と言いながら、時短営業などで県内外から訪れる観光客に食も含めた魅力を味わってもらえなかった」という。「スタッフも元の生活ペースを取り戻せる」と期待した。

 那須町湯本で温泉旅館「山快」を営む阿久津千陽(あくつちあき)社長(50)は宣言の解除を「何よりありがたい」と歓迎した。紅葉シーズンの10月は、夏休みに次ぐ書き入れ時。那須湯本温泉の宿泊客は8割近くが東京圏在住者といい、人流回復への願いは大きい。

 宿泊客数は現在、例年の7割程度と「厳しい状況」が続く。「予約の動きはまだ見られないが、今後は期待できると思う」と話した。

 一方でリバウンドによる“第6波”到来への危機感も根強い。「こればかりは予想がつかず、正解がない」とし、館内の宿泊客数の制限など感染拡大防止策は今後も続けるつもりだ。

 県版まん延防止等重点措置の対象地域となる足利市の中華料理店「美龍庭」のオーナーシェフ柏瀬健太(かしわせけんた)さん(34)は「感染者を減らすためには仕方がない」と前向きだ。「お酒が提供できるだけありがたい。感染対策にしっかり協力しながら、営業を頑張りたい」と話した。