主役の不在を埋めるように、げきが飛んだ。

 「総理を目指すための選挙になる。圧倒的な勝利を目指さなければいけない」。11日、足利市内で行われた自民党前職茂木敏充(もてぎとしみつ)氏(66)の事務所開き。茂木氏が公務で欠席する中、選対委員長の木村好文(きむらよしふみ)県連幹事長は気合を入れた。 

 節目となる10回目の当選を狙う茂木氏。旧竹下派の会長代行、現職の外相として、公示後は応援演説で全国を飛び回ることになる。選挙区を空ける日が多くなるが、約600の支部を持つ強固な後援会組織など盤石な体制で選挙戦に臨む。 共産党新人との一騎打ち。優勢が伝えられる中、陣営は「勝ち方」を意識する。政調会長や選対委員長、経済再生担当相、経産相など党や内閣の要職を歴任し、9月の総裁選では有力候補として注目された。陣営は「さらなる高みを目指すためには圧勝が必要」と士気を高め、10万票の大台を目標にする。

 選挙の強さの物差しとなるのは得票率だ。共産候補との一騎打ちだった2014年の衆院選で過去最高の76.54%をたたき出した。希望の党の元足利市長・大(おお)豆生田(まみうだ)実(みのる)氏と共産候補の3人で争った前回17年も61.95%を獲得。茂木氏は「(永田町で)10本の指に入ると思う。得票率でも信任が得られる形をとっていきたい」と自信をのぞかせる。 

 一方、今回と同じ構図の14年の投票率は47.93%で、県内の小選挙区で最低だった。「『どうせ結果は見えている』と投票に行かない人を減らしたい」。陣営幹部は投票率の向上に力を入れる。

 共産は5区で初の女性候補を立てて挑む。「格差を広げた自公政治を終わらせ、政権交代を果たす」。新人の岡村恵子(おかむらけいこ)氏(68)は、3日に佐野市で行った事務所開きで声を張り上げた。

 元保育士で、同市議6期22年の政治経験がある岡村氏は今回、「野党共闘」の旗印の下で選挙に臨む。候補者擁立を断念した立憲民主党の関与の度合いが焦点となる中、事務所開きに立民関係者の姿はなかった。

 共産は政党同士の相互推薦など積極的な選挙協力を望んだが、立民は慎重な姿勢を崩していない。背景には共産と距離を置く国民民主党や連合栃木への配慮がのぞく。野党候補者のすみ分けはできたが、実質的な共闘に至っていないのが現状だ。

 共産は1、5区に候補者を絞っただけに、比例票の上積みを狙う役割も大きい。日々街宣車で選挙区を巡り、自身と党のPRに全力を挙げる。