「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざを“完封”した。投打の「二刀流」による歴史的な活躍で、米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平(おおたにしょうへい)選手が、ア・リーグの最優秀選手(MVP)に輝いた。「常識」を覆した快挙に、驚くばかりだ。

 「二刀流」を貫く大谷選手に対しては、懐疑的な見方もあった。しかしメジャー4年目の今季、投手で9勝、打者としてもリーグ3位の46本塁打などを記録。高いレベルでも投打の両立が不可能ではないことを示し、満票で最高の栄誉をつかんだ。

 超人的な偉業の裏には、計り知れない苦労と努力があっただろう。右肘の手術などの苦しい経験を乗り越え、徹底した食の管理で体を作り上げるなどして、難業を成した。

 コロナ禍で沈み、先行きが見通せない世の中。分野に関係なく、生き残りを懸けて固定観念を打ち破っていかなければならない局面もあるだろう。「できるわけがない」と頭から決めつけて、諦めてはいないか。27歳の快進撃に、希望を感じたと同時に、反省を迫られる思いがした。