荒物に加えて雑貨類を店頭に並べ、新たな顧客開拓に努める福田さん=鹿沼市

 「町の何でも屋」として、古くから地元の人々の生活必需品を販売してきた荒物店の苦境が続いている。ホームセンターなど量販店の台頭で客足が遠のいたことが大きな要因という。新型コロナウイルス禍が追い打ちとなり今年に入り、事業を停止した卸売業者も出た。既存店の中には、雑貨などを新たな品を取り扱い、会員制交流サイト(SNS)で顧客の掘り起こしに力を注ぐ店もある。

 21日、鹿沼市鳥居跡(とりいど)町の福田荒物店。創業約100年の店先に、明るい色使いの北欧風キャンドルホルダーやケニアのサイザル麻を使ったバッグが並ぶ。

 店主の福田道男(ふくだみちお)さん(49)が6年ほど前、「荒物だけではとてもやっていけない」と、雑貨類を扱い始めた。入荷した商品はその都度、写真共有アプリ「インスタグラム」に投稿する。画像を見て来店する女性客が増えた。

 「食べ物以外は全部扱う何でも屋」として、地元と共に歩んできた。時代の変化を受け、同業者が次々と店を畳んだり、別業種に切り替えたりするのを目の当たりにしてきた。自身も継ぐ考えはなかったが、3代目となった。「店を無くすのは忍びない」

 東京商工リサーチ宇都宮支店によると、お盆用品を主体に麻縄や竹ぼうきといった荒物類を販売していた高山商事(壬生町国谷)が8月、宇都宮地裁から破産手続き開始決定を受けた。生活様式の変化によるお盆や正月行事の簡素化で需要が落ち込み、新型コロナウイルス禍で中国からの仕入れが滞ったことが響いた。

 同支店の担当者は、荒物店について「量販店やネットであらゆる商品が買える今、厳しい言い方をすれば『なくても困らない』業種になってしまっている。存在意義が薄れているのは否めない」と指摘する。

 福田さんは「安さではホームセンターにはかなわない」と認める。ただ、国産の竹かごやほうきなど、高品質の商品をそろえることで、生き残りを懸ける。職人の高齢化や後継者不在で、いつまで仕入れられるか不透明な商品もあるが、「道具と一緒に時を重ねる喜びを伝えたい」と話した。