作新学院高時代の江川卓さん(右)。水島新司さんとの親交は高校時代に始まったという

 「また野球の話をしたかった」。亡くなった漫画家水島新司(みずしましんじ)さんと半世紀にわたり親交があった野球解説者の江川卓(えがわすぐる)さん(66)が17日、下野新聞社の取材に応じ、水島さんから受けた恩義を明かした。水島さんは作新学院高時代から、江川さんの大ファンだったという。「特に大学野球で勝てたのは水島先生のおかげ」と感謝し、惜別した。

 高校3年、春のセンバツ甲子園に出場した時、「(水島さんが)会いたいと言っている」と、雑誌関係者から聞き、宿舎で話したのがきっかけ。「『野球狂の詩』だったと思うが、作品を拝見していたのでうれしかった」と振り返る。

 忘れられない思い出は、法政大時代。水島さんが都内の自宅の庭に鉄塔のアンテナを建て、地方テレビ局で放送されていた大学野球の試合を受信し、当時は珍しい録画をしてくれた。試合が終わるたびに、捕手の袴田英利(はかまだひでとし)さん(66)と2人で水島さん宅に通い、食事をごちそうになった後、映像を見て分析した。

 「それが何より楽しみだったし、他の大学ができないことをしていただき、本当に参考になった。(東京六大学野球で)47勝できてプロに進めたのも先生のおかげ」。濃密な時間は今も心に深く刻まれている。

 「先生は南海(ホークス)ファンだったので、『パ・リーグに入ってくれ』とおっしゃっていた。縁がなくて入れなかったのですが…」と懐かしむ。

 プロになってからも、オフには必ず会うなど親交が続いた。「先生も私のファンでいてくれて私も先生の作品のファン。約50年、お互いファン同士の付き合いだった」

 水島さんは穏やかな性格で、気遣いの人だったという。「野球のアイデアがすごく豊富でそれが作品に反映されている。ドカベンの連載時もよく一緒に話をしたんです」。ドカベンには「江川学院」という栃木県の高校も登場する。

 「(訃報を聞いて)びっくりした。またお会いできるのを楽しみにしていた。寂しい、すごく寂しいのが一番です」