SNSでも話題の「とちあいか」

 「いちご王国」栃木県をけん引する、24年連続で販売額・出荷量とも全国一位のJAはが野産のイチゴ。まさに今が旬です。本県のイチゴといえば「とちおとめ」や「スカイベリー」が有名ですが、新品種「とちあいか(※①)」が注目を集めています。

 「とちあいか」は、2018年に開発された栃木県のオリジナル品種で、甘さが際立ち、果実がつまったしっかりした食感が特徴。粒は大きく丸みのあるきれいな三角すい型で、縦に切るとハート型になることから会員制交流サイト(SNS)でも女性を中心に「映える」「かわいい」と話題です。

 19年秋に初出荷され、JAはが野でも517軒が加盟しているイチゴ部会のうち今年は77軒が栽培。出荷量は8万9182㌕で昨年対比は286パーセントになります。

 JAはが野管内、真岡市阿部品地区でとちあいかの栽培にいち早く取り組んでいるのが池田周平さんです。池田さん宅は、代々ニラや米などを栽培する農家。父の代から女峰を手がけ、長らくとちおとめを栽培してきました。池田さんが就農したのは高校卒業後、同地区では最年少ですがイチゴ栽培は12年目になります。「元々は自動車工になりたかったのですが、気がついたら農業の道に進んでいました」と振り返ります。

 現在、池田さん宅では33アールのハウスでイチゴを栽培。内訳はとちおとめが24アール、とちあいかが9アール。とちあいかの栽培を始めたのは昨年からで、両親と叔父の4人で作業しています。

「とちあいか」の味を届けたい

 イチゴは11月から翌年3月頃に親苗を定植し、7月まで子株を増殖します。育苗(※②)期間を経て、9月上旬から中旬ごろにハウスに定植。10月から6月頃にかけて収穫・出荷します。とちあいかは「萎黄病(いおうびょう/※③)」にかかりにくく、とちおとめに比べ、耐病性と育てやすさを兼ね備えた品種として開発されました。

 池田さんは、初めてとちあいかを栽培した感想として、水の管理に苦労したと言いつつ、「全体的に育てやすく、甘さや味のムラも少なく、おいしいイチゴができました」と手応えを感じています。イチゴ栽培でも難しいとされる育苗も、個体がしっかりしていて順調だったそうです。「これからの品種ですが、とちあいかのおいしさを大勢の人に味わってもらえるよう頑張ります」と終始笑顔で話してくれました。

 池田さんが栽培したとちあいかは、JAはが野産として県内や京浜地区に出荷されています。記事に関するお問い合わせは、JAはが野営農部 ☎0285・80・1919まで。

雑学事典

【とちあいか】(※①) 栃木県農業試験場いちご研究所が開発したイチゴ。2018年に品種登録され、19年より商業生産・流通されています。大粒で甘く、耐病性があるほか、単位面積あたりの収量も多く10月下旬から出荷でき、将来の主力品種として期待されています。

【育苗】(※②) 増やした苗を育てていく作業。7月上旬から中旬にかけて苗を切り離し、ポットなどに植え替えて育てます。低温状態にさらし早く花をつけて収穫できるようにする、難しい作業といわれています。

【萎黄病】(※③) イチゴの病気で、苗の発生数が少なくなり、苗の新葉に奇形を生じます。収穫時に発生すると着果が少なくなり、実も大きくなりません。