開店した古本喫茶「くらしのら」とオーナーの福田さん

 【鹿沼】西沢町でパン店「一本杉農園」やカフェなどを営む福田大樹(ふくだだいき)さん(33)がこのほど、同所の南摩小西側に古本喫茶「くらしのら」を開店した。「地域に暮らす人たちが大切にしてきた本と、次の読み手をつなぐ中継地点」をコンセプトに、本の所有者や店舗利用者がエピソードや感想を記したしおりを見ながら、本の閲覧や購入ができる独特の仕組みで運営。福田さんは「本を介して新たな形の交流が生まれる場になればいい」と話している。

 福田さんは生まれ育った南摩地区の活性化を目的に「偶然の出会いや予想外の発見が起こるような面白い場所を作りたい」と新たな出店を計画した。パン店の従業員らとアイデアを出し合って店の形態を検討。個々で楽しみ方が異なり、所有者の背景も垣間見える「本」を切り口にした古本喫茶の形態を企画した。

 古民家を改装した店内に並ぶ古本は、「委託販売」と所有者が本を紹介する非売の「みんなの本棚」、店に譲られた「寄付本」の三つの形式で集められ、ジャンルは文芸書や実用書、絵本など多岐にわたる。それぞれの本に挟んであるしおりには自由に記入することができ、福田さんは「面識のない利用者同士のメッセージのやりとりも生まれている」とさっそく生まれた「化学反応」に驚く。

 店舗は火曜から土曜の午前10時から午後5時まで営業。香りを嗅ぐ事で記憶や感情がよみがえるプルースト効果を狙った「読書のブレンド」などひねりを利かせたコーヒーや、系列のカフェで手作りしたスイーツ数種類も提供している。

 店名の「くらしのら」は「生きるのに不可欠な行為を暮らしの『く』とすると、読書はその次に来る生活を潤す行為」との考えに加え、「のらりくらりと生きる『のら人間』でありたい」という意味も込めて命名したという。福田さんは「今後はここで知的好奇心をくすぐるような催しを企画したい。店がどう面白い方向に行くか楽しみ」と店舗の進化を期待している。