「サシバの里自然学校」校長の遠藤隼さんが、親子で一緒に自然に親しめる遊びやイベント、身近なフィールドを紹介します。

 

 みなさんは6月というと何を思い浮かべますか? ジトジトした雨ばかりの梅雨?

 森の緑が濃くなるこの時季になると、夏に向けて昆虫たちはますます元気に成長を続けます。自動車で田んぼ沿いを走っていると、道路を横断する茶色いケムシを見かけたことはありませんか? 小さいながらもヨイショヨイショと懸命に道を横断している彼は「ヒトリガ」の幼虫です。通称クマケムシと呼ばれるケムシです。タワシのようにびっしり生えた毛に毒を連想されるかもしれませんが、意外にも無毒です。運転に余裕があったら横断するまで見守ってあげてください。彼らは新天地へ、ごはんとなる草を探しに冒険をしている最中なのです。

ケムシに興味津々の子どもたち。手にとってじっくり観察することで新たな発見があります

 クリの木に近づくと、葉っぱと同じような明るい緑色のモサモサしたケムシに出合えるかもしれません。それは、クスサンという大型のガの幼虫です。こちらもびっしりと毛が生えていますが無毒です。手のひらに乗せると腹脚と呼ばれる細かな足のようなものが皮膚に吸い付きくすぐったいです。

 この時季のサシバの里自然学校では、子どもたちとケムシ探しをします。ケムシはエサとなる木々の周りに集まっており動きも遅いため、子どもたちにも比較的見つけやすい昆虫です。しかし、見つけてもうかつには触らないでください。よく種類を確かめて、安全を確認した上で手に乗せましょう。

 フサフサした毛で覆われているケムシは、昆虫でありながら小動物をめでるような不思議な感覚になります。そうやって、何人かの子どもたちがケムシをなでている姿をみると、残りの子どもたちもわれ先にと手や腕の上をはわせて遊び出すのです。それこそ、本当にハムスターなどの小動物と戯れているかのような姿に見えます。

毒々しいが無毒のマイマイガの幼虫。腕の上を歩き回る姿は小動物のようです

 世の中には昆虫が苦手な方も多いでしょう。しかし、それはこれまで昆虫をじっくり観察したことがなかったからなのかもしれません。では、ケムシをじっと見てみましょう。毛の生え方、体の模様、足のつき方。そして、顔つき。よく見ると愛くるしく見えるパーツがあるかもしれませんよ。どんな世界でも、まず相手を知ることが仲良くなる秘訣(ひけつ)です。

 いままで、怖い、危ない、と毛嫌いしていたケムシでも、ちょっと知識を持って接すれば新たな一面に出合えます。これから夏になるとさらに昆虫たちは元気になります。今年は、昆虫を「じっくり観察する」ことをから挑戦してみませんか。

 【注意】意外と毒をもつ毛虫は多くありません。しかし、見分けの難しい種類もたくさんいますので、あらかじめ図鑑などで調べて、安全を確かめた上で接触してください。また、無毒であっても皮膚の弱い方などはかぶれる可能性もありますのでご注意ください。

イベント情報

 生きもの塾6月

 ・日時…18日午前9時~午後3時

 ・参加費…4000円

 ・主催…サシバの里自然学校(要予約、同校ホームページから申し込みが必要)

 里山野あそび隊/森の葉っぱでゲーム&クラフト

 ・日時…19日(午前10時~正午、午後1~3時)

 ・参加費…1500円 

 ・主催 道の駅うつのみやろまんちっく村/じおらじお(要予約、(問)同道の駅028・615・7730)

◆遠藤隼(えんどう・じゅん)さん◆1984年、宇都宮市生まれ。大学卒業後、静岡県にある自然学校職員として子どもキャンプやエコツアーを指導。2012年8月から1年以上かけて、自転車でユーラシア大陸横断・南米縦断をした。2021年度宇都宮大大学院修了、研究テーマは「里山での幼児向け体験型環境教育の実践と評価」。現在はサシバの里自然学校校長、作新学院大女子短大部非常勤講師。