憲法問題について考えた学習会。9条改正も参院選の争点の一つだ=17日夜、那須塩原市太夫塚1丁目

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から、4カ月が過ぎた。鳴り響く銃声、市民への殺りく、転がる遺体-。凄惨(せいさん)な現実が日々伝えられる。

 「まさか」。小山市、木村和子(きむらかずこ)さん(78)は、その思いが拭えない。「生きているうちに、また戦争なんて…」

 1歳の時、広島市内で被爆した。音楽教師だった父親は実家の跡取りが戦死し、継ぐことになった。母親と離縁せざるを得なかった。母、姉、自分の3人暮らし。幼い頃から、よその子守を引き受け、働いた。貧乏だからと、いじめられもした。

 「戦争はきれいごとじゃない」。今も「戦争のせい」の苦しい生活の記憶が残る。それだけに平和への願いは切なるものだ。

 武力行使せず、ウクライナを支援する政府の姿勢に異論はない。ただ、それによる近隣諸国との関係が気がかりだ。

 ロシアは日本の制裁に反発し、北方領土問題を含む日本との平和条約締結交渉を中断した。尖閣諸島などを巡る中国との緊張も予断を許さない。日常が壊される事態を「あすはわが身」と思うようになった。

 願いはただ、孫子が平和に生きること。「国会議員にはジェスチャーだけで終わらないでほしい」と実効性のある施策を求める。

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 ウクライナ侵攻を受けて、主な争点に浮上した安全保障政策。「社会の関心が高まっていることは肯定できる」。宇都宮大国際学部4年鈴木(すずき)ひとみさん(21)は、そう受け止める。

 大学でさまざまな世界の紛争、人権侵害を学んできた。「専守防衛」を掲げてきた日本。「有事の際にどうするのか、しっかり考える時が訪れた」と捉える。

 参院選での各党の主張は、防衛費増強や防衛力強化を掲げる内容が目立つ。鈴木さんは「日本と欧米では環境が違う。増額ありきではなく、中身を精査してほしい」と注文を付けた。

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 6月中旬、那須塩原市太夫塚1丁目の西那須野公民館で開かれた県北地区憲法講演会。講師の服部有(はっとりゆう)弁護士は「戦争放棄そのものが絶対に嫌という人はいないだろう」と指摘した。

 その上で、安全保障への考え方の違いなどから、意見が分かれる9条への自衛隊の明記に関して、賛成・反対意見を解説した。

 各党派が政策を競う参院選は、平和を守るための議論を深める機会となる。

 ミニ解説  各党は防衛費の増額や、自衛目的でミサイル発射拠点を破壊する「反撃能力」などの保有を公約に盛り込む。とりわけ自民党は国内総生産(GDP)比「2%以上」も念頭に置き、防衛費の積み上げを掲げる。共産党と社民党は防衛力の大幅増強に反発している。憲法9条の改正については、自民が自衛隊の明記を主張。日本維新の会や国民民主党も積極姿勢を示す。立憲民主党は反対する。