職員と打ち合わせをする相澤さん(右)。施設では多職種が一丸となってコロナ禍を乗り越えてきた=6月中旬、宇都宮市砥上町

 「手探り状態」からのスタートだった。新型コロナウイルスの感染拡大から2年以上。那須塩原市の菅間記念病院の呼吸器内科医丹内則之(たんないのりゆき)さん(47)は院内の他科の医師と連携し、治療の最前線で試行錯誤を続けてきた。

 同病院は2020年4月、最大25床をコロナ用の病床として整備。感染症専用の隔離施設はない。入院病棟を独立させ、換気設備も整えて受け入れ態勢を一からつくった。患者は地元の那須周辺だけではなく、県南部からも搬送された。

 治療に当たりつつ、受け入れ医療機関が限られ、負担が一部の病院に偏る状況に疑問を感じた。医療物資の不足や、保健所との情報共有で苦労したことも。

 「患者の受け入れ態勢構築も含め、今後は実効性のある対応策をつくるべきだ」。丹内さんはそう望む。

 同病院の菅間博(かんまひろし)理事長は「検査体制の拡充やワクチンの開発も日本は非常に遅い。専門家や組織が縦割りで、協力態勢が取りづらい」と指摘。病院や研究機関の連携強化が必要と訴える。「課題を教訓としなければ同じ問題を繰り返してしまう」。危機感を募らせる。

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 変異を繰り返すコロナウイルス。感染拡大のたび、病床逼迫(ひっぱく)や医療崩壊の危機に瀕(ひん)した。参院選で自民党は感染対策の司令塔機能やワクチン生産体制の強化を打ち出す。野党側は政府対応の不備や治療薬の開発の遅れなどを批判し、対策の充実をアピールする。

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 重症化リスクの高い高齢者を支え続ける介護施設。現場からは待遇改善を求める声も上がる。

 宇都宮市の特別養護老人ホーム「カルペ而今(にこん)」の生活相談員相澤慧(あいざわけい)さん(38)は介護業界で働き約10年になる。コロナ禍で対応は一変した。入浴介助でもマスクを着用するなど、対策には人一倍気を配る。「特に夏は本当に辛い」と吐露する。

 相談員として面会できない家族の思いも聞いた。「本当は会わせてあげたい」と、感染対策とのはざまで迷う日々は続く。

 介護職の処遇改善に注目が高まり、ニュースをチェックする頻度が増えた。「若い人が胸を張り『介護をやってます』と言えるようになってほしい」と願う。同時に、管理栄養士ら介護を支える多様な職種にも目配りされるかが気がかりだ。

 「現場の声をしっかり拾ってほしい」。有権者の一人として願いを込めた。

 ミニ解説  県内の新型コロナウイルス感染者数は約9万4千人。感染拡大時には病床や保健所業務の逼迫(ひっぱく)、自宅療養者のケアなどの課題が浮き彫りになった。各党は参院選の公約として、感染拡大時の患者受け入れ態勢の確立や検査能力の拡充などを盛り込む。「コロナかかりつけ医」制度の創設や、感染症法上の分類を季節性インフルエンザと同様の「5類」に変更すると主張する政党もある。